You.04 ページ7
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Prrrr…
「はい」
「あ、もしもし」
「…一静！？」
「はいご名答〜」
ねね、今どこにいると思う？と言われ、後ろからするガヤガヤとした喧騒に、もしかして、と。
「今、4人で飲んでんの」
この喧騒の奥に、徹が、いる。
そう思うと意識が遠のきそうになって、ガクンと膝が折れた。
電話の向こうにも聞こえていたようで、ちょっとA！？と柄にもなく、一静が慌てたのが分かった。
「…あのさ、」
「…うん」
「聞いた。及川から」
「…そっか」
きっと泣きそうになりながら、自分を嘲笑するかのように話したんだろうなぁ。
そのシーンが頭に浮かぶ。
それで皆、適当に相づちうったり、徹をなじったりしながら気遣うことなく自由に飲むんでしょう？
分かってる、……徹のことなら、なんでも。
「それでさ」
「…うん」
「……良かったら今度の金曜日、飲まない？」
「え、」
「話、きいてあげたい」
どうせ一人で溜め込んでるんでしょ、と笑う。
やっぱり一静には敵わないなぁ。
「…だから泣かないでよ。ね」
まるで小さい子供をあやすような口調。でもそれに安心してしまうのは高校の時からずっと変わらない。
いつも不安だった。
高校生なんて、人生で一番幼くて弱い期間に、素敵な男の子と出会って、告白されて、付き合って、でもその先が見えない。
信用してない訳じゃなかったけど、でも終わりばかり想像して怖がることを、やめることができなかった。
そんな時、いつも私をなだめてくれて、落ち着かせてくれたのが一静だった。
私が徹をよしよし、とするように、一静は私をよしよしした。
徹に気がつかれないようにコッソリ泣くとき、いつも隣には一静がいて、大丈夫、と背中を優しくさすってくれた。
「…A？」
電話口に立つだけで、あなたには全て筒抜けなのね。
私が声を殺して泣くのを、ずっと見てきたんだものね。
徹でさえ知らない涙をあなたは知っている＿
「…一静」
「ん？」
「いつも、ずっと、ありがとう、」
「…うん」
優しく笑う彼に、自然と私も笑顔をこぼす。
一静が私を慰めるために電話を掛けてきてくれたことも、わたしの涙に必ず気がつくと言うことも、なぜ徹と一緒にいる今、わざわざ電話を掛けてきたのかも、私には分かってしまう。
それだけ私は彼らの隣にいた。
私のとなりには彼らがいた。
あのキラキラした青春を思うと、やっぱりまた、泣けてきてしまった。
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radio-co.(プロフ) - 励ましのコメントありがとうございます！文庫化なんて畏れ多いです汗 言葉を大事にしすぎて一言一言が重苦しくなるのが欠点でして……。もう少しラフに書けるといいなー書きたいなーと思っています笑 これからも是非応援宜しくお願いします(／＼)＼(^o^)／ (2017年12月29日 16時) (
レス) id: ee8f50fb78 (このIDを非表示/違反報告)
radio-co.(プロフ) - どっどっどうもありがとうございます！(#^.^#) 文章力とストーリーの両方を誉めて頂けるなんて、これほど嬉しいことはありません！あやせさんのこの言葉を励みに更新頑張っていきますので、これからも温かく見守ってくださいね。 (2017年11月29日 17時) (レス) id: ee8f50fb78 (このIDを非表示/違反報告)
あやせ(プロフ) - あっあっあの、好きです(語彙力) 引き込まれるストーリーと綺麗で丁寧な文章表現、本当にすごいなと思いました。これからも応援させていただきます…！！ 更新楽しみにしてます〜(*^^*) (2017年11月22日 16時) (レス) id: a236a20ef8 (このIDを非表示/違反報告)
radio-co.(プロフ) - ユラさん» 大変な誉め言葉をありがとうございます！汗 更新が不定期で申し訳ありません。ここから皆の恋愛が動いていきますので、これからもどうぞよろしくお願いしますね。 (2017年10月2日 16時) (レス) id: ee8f50fb78 (このIDを非表示/違反報告)
ユラ(プロフ) - 凄く大人っぽいのに読みやすくて、あっという間に夢中でした！やばいこれ超良作じゃん！とか言って一人で騒いでます笑。及川くん達のこれからがとても気になるので、更新、お願いします！！ (2017年9月26日 0時) (レス) id: 9a45404af6 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：phobia | 作成日時：2017年2月18日 10時
