You.06 ページ11
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おやすみなさい、と言って、通話の終わった電話を切る。
現実なんてそんなものだ。少女漫画のようにはいかない。
これが少女漫画の話なら、私はきっと一静あたりと仮に付き合ってみて、徹に嫉妬させて私を選んでもらおうとするのだろう。そして徹も策略通り嫉妬して私を奪いに来るのだ。
しかし実際は、私は一静とそんな風にはならないし、徹だって、例えそんなことしたって振り向いてくれやしない。だから今回だって＿＿
これは少女漫画じゃないのだ。徹が何を考えていようとそんな、陳腐でありきたりで幼稚な作戦で来るはずがないし、そもそも徹に作戦まで考えて私を試そうとする理由も、権利もない。
この電話は、深い意味などなくただ…徹なりの誠意なのだと思う。
“「マネージャー、足りなくて、さ…
A、短期間だけでも、引き受けて、くれない、かな」”
正直かなり気のりはしない。多分それを徹も分かってる。だけどそれでも私に電話を掛けて寄越したのは、私以外の女の子を誘うのは良くないと、徹なりに考えてくれたからなんだと思う。
第三者の介入はいらない、第三者を選ぶつもりもない
私か、あの人。
その中で揺らいで答えを出そうとしているということなのだろう。
「…ねぇ」
一人は寂しいよ、今までずっと隣にいてくれた分、とっても大きな穴が開いたみたいな。
でもねそれでも、徹以外の人を探そうって思えないの。
要らないんだ、徹以外なんて
その人がいるということより、徹のいないことの方が目立ってしまう。
「側にいて欲しいよ…」
徹の歯ブラシもスリッパも、下着も枕カバーも捨ててしまった、あの日に。彼の痕を残さないように、もし彼が帰ってこなかったとき、より深く傷つかないようにと。
だけど…彼にもらった絵はがき、彼がフランスに家族旅行をした時に現地から送られてきた絵はがき＿海と畑が淡く優しく、太陽に照らされて微笑んでいるような絵の横に、彼の整った字と下手くそな英語が書かれていた。それだけは捨てられなかった。
＿probably I became insane,for i can't but think of you everytime.
目を凝らして何とか解読した拙いスペリングに、なんでか涙してしまったのを覚えている。そんな、愛の告白みたいな。
信じあっていた、それゆえの言葉だった。
今は？あなたはいつだって私のことを思ってる？
私はいつだって、あなたのことを、想ってる。
“引き受ける”
短くそう打って、送信ボタンを押した。
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radio-co.(プロフ) - 励ましのコメントありがとうございます！文庫化なんて畏れ多いです汗 言葉を大事にしすぎて一言一言が重苦しくなるのが欠点でして……。もう少しラフに書けるといいなー書きたいなーと思っています笑 これからも是非応援宜しくお願いします(／＼)＼(^o^)／ (2017年12月29日 16時) (
レス) id: ee8f50fb78 (このIDを非表示/違反報告)
radio-co.(プロフ) - どっどっどうもありがとうございます！(#^.^#) 文章力とストーリーの両方を誉めて頂けるなんて、これほど嬉しいことはありません！あやせさんのこの言葉を励みに更新頑張っていきますので、これからも温かく見守ってくださいね。 (2017年11月29日 17時) (レス) id: ee8f50fb78 (このIDを非表示/違反報告)
あやせ(プロフ) - あっあっあの、好きです(語彙力) 引き込まれるストーリーと綺麗で丁寧な文章表現、本当にすごいなと思いました。これからも応援させていただきます…！！ 更新楽しみにしてます〜(*^^*) (2017年11月22日 16時) (レス) id: a236a20ef8 (このIDを非表示/違反報告)
radio-co.(プロフ) - ユラさん» 大変な誉め言葉をありがとうございます！汗 更新が不定期で申し訳ありません。ここから皆の恋愛が動いていきますので、これからもどうぞよろしくお願いしますね。 (2017年10月2日 16時) (レス) id: ee8f50fb78 (このIDを非表示/違反報告)
ユラ(プロフ) - 凄く大人っぽいのに読みやすくて、あっという間に夢中でした！やばいこれ超良作じゃん！とか言って一人で騒いでます笑。及川くん達のこれからがとても気になるので、更新、お願いします！！ (2017年9月26日 0時) (レス) id: 9a45404af6 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：phobia | 作成日時：2017年2月18日 10時
