【無印イナイレ】最強少女と天才少年２【鬼道有人】 (ページ14)

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第６１話叶わない初恋ページ14

※鬼道side※

鬼道｢...っ、待て！｣

A ｢わっ...！？｣

すれ違おうとしたAを、俺は引き止めていた

話したいことが山ほどあって、何から言えばいいのか分からない

緊張で声が震える

俺らしくない...と何故か思考だけは冷静だった

鬼道｢A...何も言わずに聞いて欲しい｣

昔のことを思い出す

Aと過ごした日々は...とても幸せなものだった

鬼道｢A...覚えてるか？

昔、二人で海を見に行こうって、夕日の下で約束したよな｣

A ｢...！｣

忘れるはずのない、最初で最後の叶わない約束

叶わないとお互い分かっていても、あの約束は確かに、俺達の絆の証となっていた

鬼道｢いつか叶えばいいのにって...ずっと思っていた｣

Aの腕を掴む掌に、少しだけ力を込める

(Aに、全て知って欲しい...俺の想いの全てを...)

とはいえ、数年越しの想いを伝えるのは簡単なことではなかった

緊張で声が震え、鼓動が早くなっていく

何とか勇気を振り絞り、俺は口を開いた

鬼道｢A...例えお前が、雷門の味方をしても...

俺達帝国を、間違っていると主張しても...俺は...｣

そこまで告げて、俺は続きを言うのを躊躇った

(...っ、全部話すって決めたのに...！)

鬼道｢俺は...お前のことを──｣

A ｢...っ！｣

とその時、Aは俺の腕を振り払い、逃げるようにその場から走り去ってしまった

鬼道｢っ、A！｣

必死に呼び止めるも、彼女が立ち止まることはなかった

...心做しか、その背中は泣いているようにも見える

鬼道｢A...｣

俺の小さな声は、誰の耳に届くこともなく夕日に消えていく

(情けないな、俺...逃げてばっかで)

一人苦笑いを浮かべる

うっすらと涙が込み上げてきた

Aにこんな感情を抱くようになったのは、一体いつのことだろう

(幸せだったあの頃には…もう、どう頑張っても戻れないのか…)

頬を涙が伝う

凄く苦しくて、切なくて──

この気持ちの正体に気付くことができたなら、どんなに楽だろう

(俺はこの先どうすれば…)