【無印イナイレ】最強少女と天才少年２【鬼道有人】 (ページ13)

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第６０話叶わない約束ページ13

私は思わず立ち止まる

(有人...！？)

けじめを付けるため、帝国学園へと向かう道を歩いていたその時...

人気のない道を選んでいたはずが、ばったり鬼道と出くわしてしまったのだ

(ど、どうしよう...)

物凄く気まずい雰囲気が漂っている

それは、すぐに逃げ出したくなるほどのものだった

(けど...お父様に会いに行くと決めたんだし…)

決意を固め、逃げるように歩き出す

すれ違おうとした、その瞬間──

鬼道｢...っ、待て！｣

A ｢わっ...！？｣

急に腕を引っ張られ、思わず声を上げた

突然のことと緊張のあまり、私はまたその場に固まる

鬼道は視線を下に向けたまま、落ち着いた声音で話し始めた

鬼道｢A...何も言わずに聞いて欲しい｣

優しい声と掴まれた腕から伝わる彼の体温に、自然と心臓が高鳴る

自分らしくない...と、思考は何故か冷静だった

鬼道｢...A、覚えてるか？

昔、二人で海を見に行こうって、夕日の下で約束したよな｣

A ｢...！｣

(あんなこと...まだ覚えてたの...？)

忘れるはずのない思い出

いつか、二人で一緒に海を見に行こう...

最初で最後の、叶わない私達の約束

忘れられているだろう、と思い込んでいた

鬼道｢いつか叶えばいいのにって...ずっと思っていた｣

私の腕を掴んだままの彼の掌に、少しだけ力が入る

(有人...)

鬼道｢A...例えお前が、雷門の味方をしても...

俺達帝国を、間違っていると主張しても...俺は...｣

言葉の続きを、彼は躊躇った

けれど、彼が次に発する言葉が何なのか...私には分かる気がした

私も、同じ想いを抱いていたから...

鬼道｢俺は...お前のことを──｣

A ｢...っ！｣

その時、私は彼の腕を振りほどき、逃げるようにその場を走り去った

それ以上は...聞いては行けない気がしたから

涙が溢れて止まらない

(どうして...どうして私は...)

伝えたいことはたくさんある

なのに...いざ顔を合わせると、何も言えなくなってしまう

(こんなにも...私は、有人が...有人のことが好きなのに...)

必死に呼び止める彼の声も聞こえなくなっていた

凄く苦しくて、切なくて──

(逃げてばっかで...ごめんね、有人...)