第３８話 同じ思い ページ40
染岡 ｢俺も豪炎寺も、同じFWだ
あいつの必殺技を見た時...素直に凄いと思った、けど…｣
染岡は顔を伏せる
染岡 ｢自分の弱さを、思い知らされたんだ
...俺は、必殺技なんて使えない｣
そう言った染岡の声は弱々しく、いつもの彼とは大違いだ
何と言葉をかけたら良いのか分からず、私はただ静かに染岡の話を聞いていた
必殺技を使えるようになりたい...
もっと強くなりたい...と、彼は私と同じことを思ったようだ
A ｢そっか...同じだね、私と...｣
染岡 ｢でもAは必殺技が使えるだろ...？｣
その一言に、私は昔のことを思い出す
必殺技を習得するために、幼い頃必死に特訓したことを...
A ｢...必殺技が全てじゃないって、私は思うけどな｣
染岡 ｢それはAの言う通りだ、だが──｣
私は染岡の言葉を遮り、こう言った
A ｢分かる、分かるよその気持ち
... “デッドリー・フレア”はね、元々私の技じゃないんだ｣
染岡 ｢...え？｣
A ｢私の、お兄ちゃんの必殺技なの｣
沈む夕日を見つめながら、私は続ける
A ｢けど、必死に特訓して、私も使えるようになった
...それは決して、楽ではなかったよ｣
(けど、成功した時は嬉しかったな...)
染岡 ｢...そうだったのか｣
A ｢うん...綺麗事だとは思うけど…
“強くなりたい”って思ったその瞬間から、すでに染岡君は強くなってるんじゃないかな｣
そう言った後に気恥しくなった私は、それを紛らわすように立ち上がる
染岡は顔を伏せたままだったが、不安そうな表情ではなく、落ち着いた表情をしていた
A ｢あ、えと...私には似合わないね、こんなセリフ...｣
染岡 ｢...ありがとな｣
染岡は小さくそう呟き、ゆっくりと顔を上げた
染岡 ｢俺もAや豪炎寺みたいに、強くなる...
そして絶対、俺だけの必殺技を完成させるぞ…！｣
勢いよく立ち上がった染岡に、自然と笑みがこぼれた
A ｢うん、その勢いだよ...！｣
染岡 ｢あぁ、ホントありがとな！A！｣
(良かった、元気になってもらえたみたい...)
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作者名：紫苑 | 作成日時：2018年4月7日 1時
