12 ページ12
*
「はあーー…………」
「でかいため息」
「無理もないよ。だって、昨日は戦いだった」
「お母さんと夕食してたんでしょ?」
「うっ……ああ、そうなんだけど食べすぎて」
「そんなことかよー」と紗希は楽しそうに笑う。
そうだ。昨日彼女には「お母さんとご飯食べに行く」と嘘をついて買い物に行ったんだ。酷い目にあったけど。
あの後、彼らはさほど長くはあの店にいなかったので、タイミングを見計らってダッシュで家に帰った。
どうしてダッシュしたんだろう。
なんか、ダッシュせずにはいられなかった。
とにかく、早くあの場から立ち去りたかった。
何となく今日の私の元気がないのを、紗希の感性が読み取ってくれたようだ。
紗希は次の授業の準備をしてから、私に言った。
「よし、今日の放課後こそはマックで勉強するか」
優しさ溢れたお誘いだと思う。
彼女とは今後何があっても、おばあちゃんになっても付き合っていきたいと思える友達だ。
「もちろん」
「よし決まり〜!」
テストも控えているし、昨日のことなど忘れて勉強に没頭しよう。
……なんていって、きっと紗希とくだらない会話をしてまた時間が過ぎるんだろうけど。
それでいいんだ。
*
家に帰って、予想通りただの懇談会と化した今日の放課後の写真を眺めて、ふっと笑った。
スマホのカメラロールの自撮り写真のうち、四分の三ぐらい私と紗希の全力変顔写真ってどういうことだろうか。JKとしてあるまじき行為だ。
残りの四分の一、一般人向けの可愛い写真を加工して、Twitterを開いた。
『今日は放課後、紗希と一緒にマックで勉強してきた!予想通りほとんど何もしなかったけど笑
最近は誰かさんの誕生日のために奮闘してるから、楽しみにしておいて欲しいな〜なんて』
Twitterに載せる文は、前半は日常、後半は「今紗希の誕生日のために色々な準備してるんだよ」ってことを暗示させる内容だ。
それに先ほど加工した写真を添えて、タイムラインに投稿した。
"いいね"が来てたらいいな。特に紗希。
これで反応来なかったら明日ぶっ叩いてやる。
幸せな放課後の思い出と共に、今夜はぐっすり眠ることができた。
37人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「オリジナル」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
かなこ - 面白いです!忙しいとは思いますがこれからも更新頑張ってください!応援してます (2017年1月14日 10時) (レス) id: 44840db7e6 (このIDを非表示/違反報告)
みゆのん(プロフ) - すごい面白いです!もし何ですが私が、作った作品も読んでください! (2017年1月12日 22時) (レス) id: a82c72c54a (このIDを非表示/違反報告)
夢見沙也加(プロフ) - 涼河 最愛さん» ありがとうございます。そう言っていただけると受験生にも関わらずますます調子に乗って更新してしまえそうです。応援よろしくお願いします(´∀`) (2017年1月11日 7時) (レス) id: c8739959ef (このIDを非表示/違反報告)
涼河 最愛(プロフ) - すごく面白いです!!文章がとても素敵だな、と思いました。更新楽しみにしてます! (2017年1月10日 22時) (レス) id: 3dc9ed19e6 (このIDを非表示/違反報告)
夢見沙也加(プロフ) - ののさん» ありがとうございます。こんなただの妄想小説に反応していただいたこと、感謝致します(´∀`) (2017年1月9日 7時) (レス) id: c8739959ef (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:夢見 沙也加 | 作成日時:2017年1月6日 18時