妄想のその先に待っているもの

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「これ……いいかも」



もはやこの買い物は本来の目的が薄れて、私の鬱憤晴らしになりつつあった。

六軒目の雑貨屋さんで見つけたのは、ボディアロマクリーム。

これならリラックス効果も、女子力アップも望める。紗希の性格に合うこと間違いなしだ。

値段はそこそこ高いが、普段の彼女のお世話になりようからすれば安いくらい。迷わず財布の紐を解いて、それをレジに持って行った。



バースデーラッピングをお願いしたら、お店の人の気遣いでメッセージカードを添えてもらった。


購入後はワクワクした気分で小包とメッセージカードを鞄に入れ、先ほどの連絡通路での出来事は忘れかけていた。


忘れかけていたのに。



「聡〜、あの雑貨屋さん入ろ」

「いいよ」



あの二人の話し声が聞こえて、私は咄嗟に隣の店の戸棚の陰に隠れた。

神様、これ何の仕打ち？

二人のいる方向にしか出口ないのに。

これじゃ帰れない。





「これ可愛い」

「どれ？」

「この人形」

「あー、そうだね。お前そういうの持ってそう」






傍から見たら本当にただのカップルだ。楽しそうに話してる。

でも頼むから早く去ってくれ。

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