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Aside
突然だった。
突然すぎて、頭が回らなかった、、。
「、、、っあ、、、ごめん、、、
なんでもない、!ごめん、帰ろう、!」
すぐにライキくんは気まずそうな顔をして、あたしを抜かして歩き始めた。
……ウチまでの道のり、ライキくんは何も言わなくて。
それどころかあたしの少し前を歩いて、たまにあたしがちゃんと着いてきてるか振り返ったけど、目は合わなかった。
「…じゃあ、帰るね。」
ウチの前に来るとライキくんは自転車にまたがって、ようやくあたしの顔を見た。
『っ、、、ライキくん、』
「、、っ、お疲れ、」
だけどたった一言、それだけ言って自転車を走らせて帰ってしまった。
.
部屋に入って、ベッドに倒れ込む。
、、、ライキくんが、あたしのことを、好き、、、?
全然、気が付かなかった。
あたしとライキくんは、仲の良い友達だって、、
優しいお兄ちゃんみたいな存在だって、ずっとそう思ってた……。
だけどあの言葉、
‘俺のことも、少しでいいから見てよ’
……きっとライキくん、
あたしが手を離した理由に、気付いてる、、、、。
崇裕に、見られたくなかった。ライキくんと手を繋いでるとこ。
自分でもバカみたいって思う。崇裕にはもう一年前にしつこいくらいに気持ちを伝えて、振られてる。
崇裕が今あたしが誰と付き合っていようがいまいが、何も変わらない。それどころか、気付かれてすらいなかったのに、、、。
ライキくんはあたしが崇裕のこと好きなの知ってる。
ライキくんの前で泣いちゃったこともあったし、しかもそれ以来ライキくんは崇裕の話をしなくなった、、、。
……ずっとあたしが崇裕のこと忘れられてないって、気付いてたのかもしれない。
あの言葉は、きっと、、そういうことだ……。
なのにあたしはライキくんの手を振り解いた。
それはきっと、
ものすごくライキくんを、傷付けてしまった、、、、。
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作者名:ふう | 作成日時:2022年11月30日 22時