40 ページ40
自転車を押しながらあたしの手を握ってゆっくりとウチに向かってくれるライキくん。
外で会う時は、帰りはいつも送ってくれる。こんなに遅くない時間でも、そんなに遠くない場所でも。
……ほんと優しいんだ。
ラ「……でさ、……なんだよね〜」
『ふふ、それってさ〜、………』
おしゃべりしながら歩いて、交差点で赤信号で止まった。
その時だった。
、、、、
、あれ、
え、
、、、え、、
、うそ、
あの車、、、、。
急にふわふわが吹っ飛んで酔いが冷めた。
信号待ちをするあたし達の、向かい側の1番前で止まってる。
…よく知ってる黒の四駆。
夜って言ったって、周りはお店や街灯があって明るい。
、、運転する人の顔だって、なんとなく、、、、。
『、っ、』
思わずライキくんの手を離す。
ラ「…?Aちゃん?どうし、、、っ、」
真っ直ぐ前を見ている崇裕は、あたしたちに気付きもしない。
呆然と…なのに心臓はドクドクと音を鳴らしながら、崇裕から目が離せずにいる。
そのうちに信号が変わって、車は動き出した。
まるでスローモーションみたいに、崇裕はまっすぐ前を見据えながら、青信号でも動かずにいるあたしたちの横を通り過ぎて行った……。
163人がお気に入り
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:ふう | 作成日時:2022年11月30日 22時