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#10 帰れない ページ10
朝、目が覚めたら、ソファーに横になっていた。
あの人が柔らかく目を細めて、私を見下ろす。
もう一度と願ったあの目で。
カズ「おはよ。体調はどう？」
A「…おはようございます。
…大丈夫、です」
カズ「よかった」
A「あの、昨日はありがとうございました」
カズ「…気づいてよかったよ」
あの人が、一瞬、悲しい目をした、ような気がした。
カズ「フハッ！頭の上に『？』の吹き出しがいっぱい出てるの見える！」
A「いや！だって！」
カズ「まぁ、そうだよねー。
後でゆっくり話してあげるよ。
お友達が帰ってからね」
A「あの…先に1つだけ聞いてもいいですか？」
カズ「何？」
A「昨日、帰ったんじゃなかったんですか？」
カズ「オレだけ泊まった。
翔ちゃんに『勉強教えてー』って言って。
だって、帰れないよ。
やっとお前の事見つけたんだもん」
そう言うと、あの人はまた、柔らかく目を細めて、私を見た。
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作者名：茉莉 | 作成日時：2023年10月30日 18時
