#20 パラレルワールド ページ20
火曜日の放課後、カズくんとスタバで、1つのテーブルで隣同士に座って話した。
A「なんで隣に座るの？」
和也「向かいより隣の方が小さい声で話せるでしょ？」
A「なるほど」
和也「ってゆーのは建前で、隣の方がイチャイチャ出来るから」
A「え！？」
和也「くふふ笑
で、Aちゃんはお話どこから聞きたいのかな？」
A「全部」
和也「全部かぁ。そうだよなぁ。
…Aはパラレルワールドって分かる？」
A「うん、分かる。
ある時点で分岐して、並行して存在する別の世界、だよね？」
和也「そう。
Aが見てる夢は全てパラレルワールドだよ。
オレもAも夢を媒体として、パラレルワールドを渡り歩いているんだ」
A「なんで夢がパラレルワールドだって気がついたの？」
和也「非現実的な夢は見たことがない。
あの時ああしてたら、きっとこの世界になったんだろうな、とか、オレの親とかじいさんばあさんとかがああしたから、この世界のオレが何歳なんだろうな、とか。
必ず過去に取っ掛かりがあるんだ」
A「言われてみれば、確かにそうかも」
和也「オレの見る夢には、必ずと言っていいほどAが出てくる。
物心ついた時には、もう毎回Aを探してたよ。
普通の夢なら自分の行動をコントロールなんて出来ない」
A「うん、コントロール出来るなんて、変わってるなーって思ってた」
和也「でしょ？
で、毎回お前を探してて、途中で気がついたんだ。
お前も、毎回オレを探してる。
これはもう、完璧に両想いでしょ。
パラレルワールド駆使して、現実のお前を探すのに必死になったよ。
で、やっと見つけた」
A「カズくん」
和也「ん？」
A「今までの夢は確かにパラレルワールドかもしれない。
でも、パラレルワールドを渡り歩く事自体が非現実的だよ」
和也「確かに笑
でも、夢の中のAに気がついてから12年、Aもオレを探してる事に気がついてから7年、オレはちゃんと現実のお前を探し出したよ？」
A「…カズくん、見つけてくれて、ありがとう」
カズくんが、柔らかく目を細めた。
和也「…どういたしまして」
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 2人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：茉莉 | 作成日時：2023年10月30日 18時
