#19 いっさいムダなく ページ19
和也「やっとちゃんと抱きしめられた。
離したくない。
連れて帰りたい。
もうオレ働くから、一緒に暮らそうよ」
A「私たち、まだ高校生だよ？」
和也「Aが高校卒業したら、同棲しよう。
智くんにはちゃんとオレから話すよ」
A「気が早いよ」
和也「言ったでしょ？Aとの時間をいっさいムダなく過ごしたいって。
将来は何がいいかな？
高校教師、IT企業の社長、不動産屋、写真家、科学者、料理人、プロゲーマー、デザイナー、医者、検事、アイドル…」
A「そんなにあるの！？
私、普通に会社員と、書道家と、ウインド・オーケストラしかなくない？
でも、喘息あるから楽器は無理だよね」
和也「書道家でいいんじゃない？
オレ、Aの作品、好きだよ？」
A「じゃあ、書道家になる。
写真家はヤダなー。すぐどこか行っちゃうし。
医者もヤダなー。ほとんど家に帰ってこないし。
アイドルもヤダなー。普通の生活できないし」
和也「参考にさせてもらいます笑」
家に着くと、カズくんは本当に智くんに同棲の話をした。
和也「智くん、Aが高校卒業したら、同棲するね」
智「は？何でオレがお前と同棲するんだよ？」
和也「ちがーう！オレがAと同棲するの！」
智「は！？ダメだろ！
Aはオレのだ！」
和也「何言ってるの？
智くんはAを15年も独り占めしてるじゃない！
さらにあと2年半もあるんだから、その間に子離れしてオレに譲りなさいよ！」
翔「誰だ！オレのAを独り占めしようとしてるヤツは！」
和也「翔ちゃんだって15年も一緒にいるじゃない！」
カズくんを見送りに家の門まで出た。
和也「オレ、本当にAとの時間をムダに過ごしたくないんだよ。
今すぐにでもお前をオレの物にしたい」
カズくんが左手で私の頬を撫でて、柔らかく目を細める。
そのままゆっくり顔を左に傾けて、私たちはキスをした。
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作者名：茉莉 | 作成日時：2023年10月30日 18時
