◇４４◇ ページ45
side赤井
ボウヤに水を持たせてしばらくして、Aが部屋から出てきた。
赤井「おはよう」
A「おはようございます、今日は昴さんじゃないんですね」
赤井「ああ、お前が起きた時に備えてな。ところで、もう平気なのか？」
A「はい、ご迷惑おかけしてすみませんでした」
赤井「いや、君が平気ならそれでいいんだ」
別に心を開いてくれなくても良かった。
俺はAと一緒にいたかった、それだけだったのに……。
つくづく自分に呆れてしまう。
叶わぬ事だとわかっているのに……
こんなにもAの事が好きだなんて。
A「秀一さん？」
赤井「ああ、すまない。少しボーッとしてた」
A「えっ、珍しい」
赤井「俺も人間だからな、ボーッっとする事くらいある」
A「そりゃそうだけど(笑)」
今の彼女は入院し始めた時よりよく笑う。
その笑顔が愛おしい。
A「あ、その服……」
赤井「？」
A「私と初めて会ったときに着てた服、だよね？」
黒い人のときの！と付け足して無邪気に笑う。
確かに、上下黒い服だからそう言われても特に気にしてなかった。
Aを助けたあの時も……。
……ん？
��私と初めて会ったときに着てた服��？
赤井「お前、まさか……！」
俺は咄嗟にAの肩をつかむ。
A「……秀一さん。昴さんの時に私に「高橋奈々が私を殴ったのは、平和主義で誰にでも優しく出来る私が羨ましかったからではないか」っていったよね」
俺が答える間もなく、Aは淡々と続けた。
A「あいつは私を羨ましいって思った事なんてないと思う。あの日、あの廃工場で私を殴った理由は、私をこの世から消すため。私を殺すためだったんだよ。そのために奴らは登校中に計画をたててたんだよ。」
俺があの日部屋から見ていた光景は、仲のいい高校生4人組なんかではなく、憎しみに満ちた女子とその仲間、そして…被害者のA……。
そんなことより、今のAの口からそんな事が聞けるということは……
赤井「お前…やはり……」
A「うん。」
Aの肩をつかむ手に力が入る。するとその上からAが手をかぶせる。
A「記憶、戻ったよ」
そういった彼女は喜びとも悲しみとも取れない笑顔で、目に涙をためていた。
俺はそんな彼女を、抱き寄せずにいられなかった。
- 金 運: ★☆☆☆☆
- 恋愛運: ★★★☆☆
- 健康運: ★★★★★
- 全体運: ★★★☆☆
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剣城萌江(プロフ) - ハルカさん» ありがとうございます！ (2020年8月7日 22時) (
レス) id: 9aee53a1c0 (このIDを非表示/違反報告)
ハルカ - はちゃめちゃに面白かったです、、！ (2020年8月7日 22時) (レス) id: bd20f305fa (このIDを非表示/違反報告)
『 』 - 面白かったです!! (2018年1月30日 23時) (レス) id: 82f14ce098 (このIDを非表示/違反報告)
剣城萌江(プロフ) - 夢羽さん» コメントありがとうございますヽ(；▽；)ノそう言っていただけてとても嬉しいです(涙) (2017年2月21日 19時) (レス) id: 7ee6bd3e98 (このIDを非表示/違反報告)
夢羽 - 完結おめでとう！とてもおもしろカッターデス！ (2017年2月19日 8時) (レス) id: d3a97d98d4 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：剣城萌江 | 作成日時：2016年4月18日 17時
