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◇32◇ ページ33

A「退学って、もう学校行けないんだよね」

沖矢「ええ……」

A「そっか」


悲しそうに笑った。


沖矢「Aはそれでいいのか?」

A「うん、だって、記憶が戻らないのは私のせい。何もわからないまま、単位がどうとかわからないし。……別にこれでいいんだ」

沖矢「本当に?」


沖矢の問にAはコクリと頷いた。


A「前の記憶がないのに学校いっても混乱するだけだもん」

沖矢「そうとは限らないかもしれないと、考えはしないのですか?」

A「……そこに荷物があるでしょ」

沖矢「!これは…?」


ドアの付近に段ボール箱が2箱置いてあった。


A「先生達よりも前に、託児所のママさんが来たの。その箱を持って」

沖矢「……っ、まさか」

A「うん、ごめんねって…泣きながら謝ってきたの。もうあなたをうちでは預かれないからって」


沖矢は感づいていた。

やっぱり……。
学校がだめなら託児所もダメだとは思ったが……。


まさかこんな早くになるとは___と。


A「馬鹿みたいだよね。記憶が戻らないのに学校とか行こうとしてさ。最初から諦めれば良かった……」

沖矢「そんなこと言うな……」

A「っ、じゃあ何?!さっさと記憶戻せって言いたいの!?できてたら苦労してない!」

沖矢「!」


おとなしいAが初めて怒鳴った。


A「みんな見舞いに来ては大丈夫だよとかいうのに、私の記憶は戻らない!!なんでよ!みんな本当は私のことどうだっていいんだ。私なんか……!」

沖矢「落ち着いて_」

A「落ち着けないよ!落ち着けてたらこうなってないもん!!あなたも私のことどうでもいいんでしょ!?さっさと出てって!顔も見たくない!」


そう怒鳴ったあとすぐにハッとした顔をするA。


A「っ、わた、し、いま……何言って……」


その目には涙が。


A「ごめ、なさ……ごめん、なさいっ……」

沖矢「……A」

A「ビクッ)」

沖矢「君はもう何も心配しなくていいんだ。」

A「なんでよ、私は住むところも失ったんだよ?心配するしかな_______」

沖矢「A」


沖矢はAのセリフをさえぎって、真剣な眼差しで言った。





沖矢「私があなたを引き取りましたから。」





沖矢の声は静かな病室に響いたのだった。

◇33◇→←◇31◇


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剣城萌江(プロフ) - ハルカさん» ありがとうございます! (2020年8月7日 22時) (レス) id: 9aee53a1c0 (このIDを非表示/違反報告)
ハルカ - はちゃめちゃに面白かったです、、! (2020年8月7日 22時) (レス) id: bd20f305fa (このIDを非表示/違反報告)
『 』 - 面白かったです!! (2018年1月30日 23時) (レス) id: 82f14ce098 (このIDを非表示/違反報告)
剣城萌江(プロフ) - 夢羽さん» コメントありがとうございますヽ(;▽;)ノそう言っていただけてとても嬉しいです(涙) (2017年2月21日 19時) (レス) id: 7ee6bd3e98 (このIDを非表示/違反報告)
夢羽 - 完結おめでとう!とてもおもしろカッターデス! (2017年2月19日 8時) (レス) id: d3a97d98d4 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:剣城萌江 | 作成日時:2016年4月18日 17時

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