◇17◇ ページ18
沖矢のその問にAは黙り込む。
無理はない。だって、記憶がないのだから。
沖矢「俺はこれを君に聞きたかったんだ……と言っても、君にその時の記憶がないのに聞いても仕方ないか。」
そう言って沖矢は立ち上がった。
その時、
A「……めだ」
沖矢「?」
Aが口をあけた。
A「よけちゃだめだ、って。よく覚えてないけどそう思った気がする」
沖矢「よけちゃだめ?」
A「……よくわかんないけど、そう思った…はず。」
沖矢「クスッ))そうか…」
赤井はAのその言葉にほんの少しだけ微笑んだ。
沖矢「とりあえず俺はそれが聞きたかっただけだ。」
A「?」
赤井はそう言うとドアまで歩いていった。
A「あ、待って!」
沖矢「っ?」
ベッドからおりて赤井の元にくるA。
A「まだ、あなたの名前…聞いてない」
沖矢「そうだな……まだ言ってなかった。」
沖矢はAと向き合って
沖矢「俺の名前は赤井秀一。だが今この姿は仮の姿……沖矢昴。訳あってこの姿に変装して過ごしている。」
そう言った。
A「えっと、じゃあ……なんて呼べば?」
沖矢「この姿のときは沖矢昴、君がいう『黒い人』のときは赤井秀一で……まあ、好きに呼んでくれて構わない」
A「じゃあ……昴、さん!」
Aは笑顔で明るくそう言った。
沖矢「では君のことも名前で呼んだ方がイイみたいだな。」
A「あ、私は……」
沖矢「向坂A」
A「!」
沖矢「だろう?」
A「は、はい!」
沖矢「じゃあ、またそのうち来る。」
そう言ってドアに手をかける。
A「昴さん!」
沖矢「まだ何か?」
A「お花……ありがとうございました」
ぺこりと深く頭を下げる。
沖矢「俺も久々に楽しかった…。またなA」
A「はい。また!」
赤井は変声機のスイッチを戻し、Aの病室から出た。
ジョディ「どうだった?」
沖矢「ちゃんと話を聞いてくれたし、答えてくれた。」
ジェイムズ「彼女は君のことを知っていたという事か?」
沖矢「いや……私のことではなく、赤井秀一のことを知っていたと言った方が正しい。」
ジョディ「どういうこと?」
沖矢「さあな……」
沖矢はジョディの問にちゃんと答えずにその場を離れた。
沖矢「俺にもわからん。」
彼の顔はいつもより穏やかだった。
- 金 運: ★☆☆☆☆
- 恋愛運: ★★★☆☆
- 健康運: ★★★★★
- 全体運: ★★★☆☆
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剣城萌江(プロフ) - ハルカさん» ありがとうございます! (2020年8月7日 22時) (レス) id: 9aee53a1c0 (このIDを非表示/違反報告)
ハルカ - はちゃめちゃに面白かったです、、! (2020年8月7日 22時) (レス) id: bd20f305fa (このIDを非表示/違反報告)
『 』 - 面白かったです!! (2018年1月30日 23時) (レス) id: 82f14ce098 (このIDを非表示/違反報告)
剣城萌江(プロフ) - 夢羽さん» コメントありがとうございますヽ(;▽;)ノそう言っていただけてとても嬉しいです(涙) (2017年2月21日 19時) (レス) id: 7ee6bd3e98 (このIDを非表示/違反報告)
夢羽 - 完結おめでとう!とてもおもしろカッターデス! (2017年2月19日 8時) (レス) id: d3a97d98d4 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:剣城萌江 | 作成日時:2016年4月18日 17時