検索窓
今日:49 hit、昨日:44 hit、合計:518,395 hit

◇17◇ ページ18

沖矢のその問にAは黙り込む。


無理はない。だって、記憶がないのだから。



沖矢「俺はこれを君に聞きたかったんだ……と言っても、君にその時の記憶がないのに聞いても仕方ないか。」


そう言って沖矢は立ち上がった。

その時、


A「……めだ」

沖矢「?」


Aが口をあけた。


A「よけちゃだめだ、って。よく覚えてないけどそう思った気がする」

沖矢「よけちゃだめ?」

A「……よくわかんないけど、そう思った…はず。」

沖矢「クスッ))そうか…」


赤井はAのその言葉にほんの少しだけ微笑んだ。


沖矢「とりあえず俺はそれが聞きたかっただけだ。」

A「?」


赤井はそう言うとドアまで歩いていった。


A「あ、待って!」

沖矢「っ?」


ベッドからおりて赤井の元にくるA。


A「まだ、あなたの名前…聞いてない」

沖矢「そうだな……まだ言ってなかった。」


沖矢はAと向き合って


沖矢「俺の名前は赤井秀一。だが今この姿は仮の姿……沖矢昴。訳あってこの姿に変装して過ごしている。」


そう言った。


A「えっと、じゃあ……なんて呼べば?」

沖矢「この姿のときは沖矢昴、君がいう『黒い人』のときは赤井秀一で……まあ、好きに呼んでくれて構わない」

A「じゃあ……昴、さん!」


Aは笑顔で明るくそう言った。



沖矢「では君のことも名前で呼んだ方がイイみたいだな。」

A「あ、私は……」

沖矢「向坂A」

A「!」

沖矢「だろう?」

A「は、はい!」

沖矢「じゃあ、またそのうち来る。」


そう言ってドアに手をかける。


A「昴さん!」

沖矢「まだ何か?」

A「お花……ありがとうございました」


ぺこりと深く頭を下げる。


沖矢「俺も久々に楽しかった…。またなA」

A「はい。また!」


赤井は変声機のスイッチを戻し、Aの病室から出た。




ジョディ「どうだった?」

沖矢「ちゃんと話を聞いてくれたし、答えてくれた。」

ジェイムズ「彼女は君のことを知っていたという事か?」

沖矢「いや……私のことではなく、赤井秀一のことを知っていたと言った方が正しい。」

ジョディ「どういうこと?」

沖矢「さあな……」


沖矢はジョディの問にちゃんと答えずにその場を離れた。



沖矢「俺にもわからん。」


彼の顔はいつもより穏やかだった。

◇18◇→←◇16◇


  • 金 運: ★☆☆☆☆
  • 恋愛運: ★★★☆☆
  • 健康運: ★★★★★
  • 全体運: ★★★☆☆


目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 9.9/10 (373 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
645人がお気に入り
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

剣城萌江(プロフ) - ハルカさん» ありがとうございます! (2020年8月7日 22時) (レス) id: 9aee53a1c0 (このIDを非表示/違反報告)
ハルカ - はちゃめちゃに面白かったです、、! (2020年8月7日 22時) (レス) id: bd20f305fa (このIDを非表示/違反報告)
『 』 - 面白かったです!! (2018年1月30日 23時) (レス) id: 82f14ce098 (このIDを非表示/違反報告)
剣城萌江(プロフ) - 夢羽さん» コメントありがとうございますヽ(;▽;)ノそう言っていただけてとても嬉しいです(涙) (2017年2月21日 19時) (レス) id: 7ee6bd3e98 (このIDを非表示/違反報告)
夢羽 - 完結おめでとう!とてもおもしろカッターデス! (2017年2月19日 8時) (レス) id: d3a97d98d4 (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:剣城萌江 | 作成日時:2016年4月18日 17時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。