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「・・・謙杜、よく聞き?おれもバカやからうまく伝えられへんけどな?おまえを助けんとおれが後悔すんねん。・・・自分のせいでおれらが犠牲なっとる思わんといて?おれはおれの意思でおまえを助けたい思うとる。線引かんでほしいねん。怖い思いしてるんは、謙杜もやろ・・・?」

看病される側と看病する側。

お互いに相手の気持ちを勝手に想像してしまうから。だからこうして想っていることを伝えていくしか他に道はないのかもしれない。

「 ・・・恭平くんお兄ちゃんみたいやわ・・」

数秒黙った後、ふっと脱力して儚げに笑う謙杜に「今までもこれからもおれはおまえのにいちゃんやで。」と真剣な眼差しで恭平が返すと、今度は泣きそうな表情で謙杜はまた微笑んだ。

その日は流星と丈一郎に看病された謙杜。

その後医者の診察も受けながら一週間ほどかけて、ゆっくりゆっくりと体調は回復していった。

今回は風邪が発作を誘発し悪化させたみたいで、持病自体は悪くはなっていないということ。

「おはよ〜謙杜、どう?体調、大丈夫?」

「おはよー!もう元気やで!!仕事溜まってるん今日片付ける!!」

和也の問いに元気いっぱいで答える謙杜を見て微笑みながらも、謙杜の持病について大分コントロールできていても今回のような発作が起きてしまうことを心に留めておこう、と改めて六人のお兄ちゃんたちは密かに思ったのであった。







「うーわ。懐かし」

休日だった丈一郎は家でやることがなく、暇を持て余した挙句、掃除でもしようかと一階にあるほとんど足を踏み入れず物置と化している一室をなんとなく物色していた。

独り言を呟き、思わず顔をほころばせた原因は、懐かしい物を見つけてしまったからで、それは少々埃の被った状態の人生ゲームだった。

気づけば丈一郎は笑みをこぼしながら部屋に持参したハンディモップで箱の挨を落とし始めていた。

その人生ゲームは小さい頃施設の時によく遊んでおり、何故かよく分からないが確かに七人で引き取った記憶がある。

「・・・ 丈くん?なにしとるん、なんか探しとるの?」

不意に声がかかり、声のするほうに振り返ると、不思議そうに部屋に足を踏み入れ、近づいてくる大吾。

何か探し物をしていると思ったらしい。

「いや、暇すぎてまじでやることなくてさ、片付けでもしよう思うてなんとなく色々見てただけなんやけど・・これ懐かしない?」

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ゆあ(プロフ) - yuyuさん» 初めまして。読んでくださってありがとうございます。そして嬉しいコメントありがとうございます(;;)とっても励みになります…面白いとのこと、何よりの褒め言葉です…これからも私なりに頑張らせて頂きますので引き続きよろしくお願い致します…(>_<) (2023年1月31日 14時) (レス) @page20 id: cd3765bd37 (このIDを非表示/違反報告)
yuyu(プロフ) - お話の文章がうますぎてその光景がすぐ頭に浮かんできます。お話もとっても面白くて吹き出すのを堪えながら読んでます笑笑こんな面白いの読んだことない笑笑これからも頑張ってください! (2023年1月31日 11時) (レス) id: 086589b12b (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:中津結亜 | 作成日時:2022年12月30日 22時

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