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えーと、どこやっけ、謙杜の薬仕舞ってある場所・・、と寝起きで頭の回転が鈍い中、恭平はまた焦って、持ってきた上着を謙杜にかけて背中を強めに摩りながら部屋の中をキョロキョロと見渡す。
「・・っ、ひきだし、にばんめ・・っ、」
謙杜はそんな恭平の姿を察し、取ってほしかったものでもあったので、なんとか精一杯声を張り上げた。
恭平は苦しい中喋らせてしまったと申し訳なく思いながらも「ごめんな、ありがと！」とすぐに引き出しを勢いよく開け、吸入器を謙杜の元へ持って行くと、「吸えそうか？」と謙杜の様子を伺う。
ゆっくりと顔を上げた謙杜が小さな背中を忙しなく上下させながらもコクコク、と頷いてくれたのを確認し、恭平は「大丈夫やからな。頑張るで。」と声をかけた。
酸素が完全に回り切っていないのか震える謙杜の手に恭平が手を添えながら、タイミングを見計らって口に咥えゆっくりと時間をおきながら計二回の吸入を終える。
「焦らんで落ち着いてな？」
恭平の声をしっかり受け取り、コクリとまた謙杜は頷く。
そのまま数分様子をみていると、少しずつだが、 喉でぜこぜこいってた喘鳴が落ち着いてくる。
薬が効いてきているのが恭平にも分かり、なんとか最低限大丈夫そうだと胸を撫でおろしながら、体が冷えないよう布団をグッと手繰り寄せて謙杜と自分に巻き付けると、まだまだしつこく出る咳に体を揺らす謙杜の背中をしばらく摩り続けた。
おれがしっかりせなあかん、と言い聞かせながらも恭平は正直怖く、手が震える思いだった。薬を使っても改善する気配がない、なんてことがあれば速攻病院送りになる。しかし、今のところ現在の薬でおおよそ抑えられそうということは薬の内容も強くする必要はなさそうだな、なんて少し余裕ができた頭で考える。
その後も根気強く背中を摩っていると、少し楽になったのか、ふと掠れた声でうわ言のように謙杜が口を開いた。
「・・・死ぬかと、おもった・・・っ、ゲホゲホッ」
体力を使い果たし自然と恭平に体重をかけていた謙杜は涙目で。相当苦しかったことを物語っていた。
「・・せやな。よお頑張ったで。まだ喋らんとき？咳でるで。」
恭平が茶色がかったサラサラな髪の毛を優しく撫でる。
「ん」と怠そうに瞳を閉じた謙杜。
「・・おまえ、」
恭平が口を開いたのと同時に、不意に部屋のドアが開いて「謙杜？咳大丈夫？」と入ってきたのは、こちらも恭平とは反対側の謙杜の隣部屋である流星だった。
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ゆあ(プロフ) - yuyuさん» 初めまして。読んでくださってありがとうございます。そして嬉しいコメントありがとうございます(；；)とっても励みになります…面白いとのこと、何よりの褒め言葉です…これからも私なりに頑張らせて頂きますので引き続きよろしくお願い致します…(＞_＜) (2023年1月31日 14時) (
レス) @page20 id: cd3765bd37 (このIDを非表示/違反報告)
yuyu(プロフ) - お話の文章がうますぎてその光景がすぐ頭に浮かんできます。お話もとっても面白くて吹き出すのを堪えながら読んでます笑笑こんな面白いの読んだことない笑笑これからも頑張ってください！ (2023年1月31日 11時) (レス) id: 086589b12b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：中津結亜 | 作成日時：2022年12月30日 22時
