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「なわけねぇだろ。お前ほんと女見る目ねぇな。いつか騙されるぞ?」
丈一郎が少し歩くスピードをあげて強い口調で和也にそう返す。
「え、なに?どゆこと?」
和也はまさかの丈一郎の言葉に頭が混乱し、もう一度恭平に視線を向ける。
「・・・ん。家帰ったらさ、聞いてくれへん?おれの話。二人に聞いてもらいたいねん。」
やっとそう静かに口を開いた恭平。
「おん、もちろんやで。おまえ一人で悩むことちゃう。自分から聞いて〜言うて偉いやんけ。」
丈一郎がそう少し微笑んで、恭平の背中をポン、と軽く叩いた。
和也も今の二人のやり取りで、なんとなくそういうことか、とやっと察する。
丈一郎も、恭平は顔が綺麗やからなぁ、それ故に、って感じか、と空に向かって一つ、息を吐いた。
帰宅して大吾と流星に夕飯作りを変わってもらい、恭平の部屋に籠った三人は、恭平の口から出てきた驚愕の事実に驚くこととなる。
「え、ストーカー?」
丈一郎と和也は同時に声をあげた。
ベットの上に胡坐をかいて輪になるように向き合っている三人。
「ちょっと待って?いつからなん?」
和也が聞く。
「んー・・、毎日じゃないねんけど、仕事終わりに待ち伏せされるようになってからは一か月くらい、かな・・。それまでも客として来てはって、結構しつこく声かけられてたんよ。」
向こうから言い寄られたのだろうとは思っていたが、想像していた以上に状況は深刻だった。
丈一郎が静かに声を上げる。
「・・おまえなんでそれもっと早く言わなかったん?」
唇を噛みしめて黙ってしまった恭平に「丈くん。恭平の気持ちも考えや?デリケートな問題やで。そんなベラベラ喋れんやろ。恭平やって覚悟決めて話してくれてるんやで?」と和也が優しく口を挟む。
「・・ん、ごめん。」
ついつい気持ちが前に出がちな丈一郎だが、こうして正してくれる仲間に丈一郎は心から感謝している。
「大橋くんええねん、確かにおれももっと早く相談すべきやったと思っとるから。ありがと。」
そして恭平も優しい人間なのである。
「うーん・・・、んで恭平は何かされたとかそういうのはないん?なんか言われた、とか。待ち伏せされとった時はどうしてるん?」
和也が眉を下げながら尋ねる。
何かされているのか、されていないのか。とても重要なことだ。
「・・・好きとか付き合ってってのは正直腐るほど言われとって・・もちろん、断っとるけど、」
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ゆあ(プロフ) - yuyuさん» 初めまして。読んでくださってありがとうございます。そして嬉しいコメントありがとうございます(;;)とっても励みになります…面白いとのこと、何よりの褒め言葉です…これからも私なりに頑張らせて頂きますので引き続きよろしくお願い致します…(>_<) (2023年1月31日 14時) (レス) @page20 id: cd3765bd37 (このIDを非表示/違反報告)
yuyu(プロフ) - お話の文章がうますぎてその光景がすぐ頭に浮かんできます。お話もとっても面白くて吹き出すのを堪えながら読んでます笑笑こんな面白いの読んだことない笑笑これからも頑張ってください! (2023年1月31日 11時) (レス) id: 086589b12b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:中津結亜 | 作成日時:2022年12月30日 22時