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大吾は確かに恋愛なんて最近はもう遠ざかっていたなぁ、と昔の記憶を引っ張り出す。
「・・・居たで。もうめっちゃ前の話やけど。」
大吾はぽそり、と呟いた。
「え？！ほんまに？！どんな子だったん？可愛かった？」
聞きたかった話を聞くことができ、キラキラと目を輝かせる謙杜。
「ふふ。・・うん、可愛かったで。めっちゃ笑顔が可愛い子やった。」
大吾はこんな記憶を掘り起こして、ましてや人と語り合うなんていつぶりだろうか、と思う。今更聞かれても絶対話す気はないし、普段だったら百パーセントロを割らないだろう。
でも気が付いたら口を開いており、それはやっぱりこの雰囲気がそうさせているのであって、早くも若干酔い始めているのかもしれないとでさえ思った。
「へぇ。・・・なんで別れたん？」
謙杜のそんな質問にでさえも、大吾は真面目に考え込んでしまう。
「・・・おれが男らしく引っ張っていけへんかったから、かな・・」
ほんの少し、その頃の自分の気持ちに戻らされた気がし、苦しくなる。
大吾は、また一口、口に運ぶ。中身は早くも半分を切っていた。
隣でそんな横顔を見つめる謙杜。大吾のその雰囲気は、確かに謙杜の知らない大吾の一面であった。
「謙杜は？居ないん？謙杜の恋愛事情こそ、おれ気になるんやけど。」
ズブズブと過去の自分に溺れていきそうで話を変えようと大吾がそう謙杜に振ると、謙杜は「・・ふふ。内緒。」と唇に指をあて、いたずらっ子のような表情を見せた。
実は全くといってそのような気配がない謙杜だが、お酒で気持ちがよくなった謙杜はそう大吾をからかったのである。
「なぁ〜！ズルいやんけ、おれ教えたやん〜！」
大吾が声を上げると、「あははは！」と謙杜は楽しそうに笑った。
二人はそのまま河川敷を歩き続け、お互いに缶の中身はほぼほぼ空になった。
「・・・なぁ、りゅちぇってもう家帰っとるかなぁ？」
不意に謙杜が残りを確認するように缶を振りながら呟く。
「流星？んー、まだ職場やと思うで？朝、今日遅なる言っとったねん。」
「・・・お店行ってもええかなぁ？」
そう、またいたずらっ子のような笑顔を見せる謙杜。
「ふは！謙杜、流星のとこ居酒屋ちゃうで？」と大吾が笑うと「ええやん、割と真っすぐこのまま歩けば着くやんかぁ、なんか会いにいきたい、て今思うた。」なんてポワポワと少し顔を赤らめた謙杜が可愛いことを言う。
「んじゃ行く？確かに歩いてれば着くで？」
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ゆあ(プロフ) - yuyuさん» 初めまして。読んでくださってありがとうございます。そして嬉しいコメントありがとうございます(；；)とっても励みになります…面白いとのこと、何よりの褒め言葉です…これからも私なりに頑張らせて頂きますので引き続きよろしくお願い致します…(＞_＜) (2023年1月31日 14時) (
レス) @page20 id: cd3765bd37 (このIDを非表示/違反報告)
yuyu(プロフ) - お話の文章がうますぎてその光景がすぐ頭に浮かんできます。お話もとっても面白くて吹き出すのを堪えながら読んでます笑笑こんな面白いの読んだことない笑笑これからも頑張ってください！ (2023年1月31日 11時) (レス) id: 086589b12b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：中津結亜 | 作成日時：2022年12月30日 22時
