家族みたいなもん。2 (ページ14)

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アレルギー（翔）14 ページ14

エピペンは前に翔さんが家に持ち込んだものだった、とか、和がなかなか頑張った、とか。

自分が持ってきたエピペンで自分が助かってるって、本当にあれが生死分けたと言っても過言じゃないし笑えないのは承知なんだけど、翔さん本人にとってはもはや笑い話らしい。

「ねぇ～、せめて内服全部ジェネリックにしてきて～」

翔さんが甘えた声で嘆く。

「いいの？」

思わず聞くと。

「お前この金額見たか？結構えげつねぇぞ？まじで。少しでもケチりてぇから。成分変わんねぇんだからいいんだよ。ドクター、イコール、マイナスだとか調子こいてる場合じゃねぇ、まじで」

なんかこの口悪い感じ、ああ翔さんだなぁ、なんて思って微笑ましかったり。

他の四人を見ると同じみたいで、幸せそうに微笑んでる。

「あーあ。どーーしてものみこめなぁ～～い」

「なにそのキショい歌」

半分壊れた翔さんにキレのある突っ込みを入れる和。

「暇すぎてアレルギーってググったら検索にヒットした歌」

・・・へぇ。

ピピピ、と突如病室に響く緊張感のある音は、まーの首から下げられた院内PHS。

まーが医者の顔になって「はい、相葉です」と応答する。

救急の翔さんもピクッと反応して顔色を変えたのがちょっとだけ可愛かったのは内緒。

「・・うん。今から？ん？ちょっと状況が分かんない。詳しく・・・あ。」

険しい顔と会話からすぐ駆けつけなきゃいけない案件なんだろうと見守っていると、一度スピーカーを抑えて顔を離すまー。

「翔ちゃん退院おめでとう。」

最大級の笑顔でそう言うと、「また後で！」とまたPHSを耳に当てながら忙しなく風のように病室を後にした。

「・・・早ぇ・・・」

翔さんも苦笑い。

「あ。白衣。」

リーダーが椅子の上に無造作に置いてあるまーの白衣を発見するとすぐさま手に持って「ちょっと追いかけるね。・・・相葉ちゃーーん！」と病室を後にする。

「あ。財布。ったくもう。」

今度は和がベッドの横にこれまた無造作に置いてあったまーの財布を発見し、同じように手に持ち「相葉さーーん！」と駆けていく。

「・・・騒がしいな。」

「ね。」

取り残された翔さんと俺。

サンダルをペタペタと鳴らしながら窓際に行き、空を見上げ出すから、俺も隣に並び、同じように空を見上げる。

「最近天気いいな」

「うん。」

「・・・なぁ、・・人間の感情ってよく分かんないな？・・・」

思わず翔さんを見ると、変わらず空を真っすぐ見上げている。