家族みたいなもん。2 (ページ11)

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アレルギー（翔）11 ページ11

「んはは。・・いや。翔くんの声が聞こえるんだよね。俺のことはいいから自分の身体労われって。俺ももうすぐそっちに帰るから、って。」

「・・それまじ？」

「さぁ？」

「なんなんだよまじで。」

「んふふ」

なんか冗談だけど軽くイラッとしながら椅子を立った。

多分、凄い顔ニヤけてるけどね。

ああ、やっぱり俺、四人のことがたまらなく好きみたいだ。

・・・翔さん。また明日来るね。

～和也side～

振り返れば、めっちゃ頑張ったと思う、俺。

あの時。

相葉さんに怒鳴り散らしながら脈測って、ラインとって・・・

患者が救命の人間だったし、一人は取り乱してるし、残るは外科の相葉さんと内科の大野さんと小児科の俺だったわけで。

ちょっと救命っぽかったよね？俺。

・・・翔ちゃんに褒めてほしいなぁ。

そんなことを考えたらちょっと笑っている自分がいる。

「せんせ～なにニヤニヤしてるの～きもちわる～い」

・・・今子供たちの前にいること一瞬忘れてたわ。

「え、二宮先生笑ってた？」

傍で点滴を片していた看護師がびっくりした様子で食い気味にしゅんすけくんに問う。

「うん。笑ってた！ニヤニヤしてたよぉ。やさしい顔で！」

優しい顔、か。

看護師が俺の顔を覗いてくる。

「・・・何よ。」

「いや？最近先生の笑った顔見れてなかったから、見たかったなぁ、なんて？」

「はぁ？阿保くさ。」

大野さんから情報は得てる。

薄暗い病棟を進んだ先。

灯りが漏れている。

ふぅ、と思わず、小さく溜め息が漏れた。

静かにそのドアを開けると、大野さんから聞いていた通り。

ベットの脇に腰かけて、翔ちゃんの手を握っている潤くん。

「・・おつかれ。」

「・・ん。おつかれ。・・・、あのさ俺、別に病んでここにいるわけじゃないからね？もう大丈夫、ほんとに。」

優しい顔してる。そう思った。

・・・ああ。潤くんも、笑えてる。

「ただ、本当にもうすぐ目覚ましてくれる気がして。だから居るだけ。目開けて誰もいなかったらちょっと寂しくない？」

「・・・ん、だね。」

俺も隣に椅子を引き寄せて腰かける。

「あ、乗っかった。」

「ん？」

「本当は俺のこと連れて帰ろうとしてたでしょ？」

「・・大野さんから連れて帰って来い、って指示が出てましたからねぇ。」

「ははっ！ミッション失敗だ？」

「大失敗」

ふふふ、クハハッと二人笑いあう。

「・・・ありがとね。」

潤くんが改まって、でも自然な感じで俺を見てそう紡いだ。