PARACAGE 4th【ars】 (ページ30)

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135.シェアハウス事情。ページ30

「意地悪されてるの？え、何、やな女とか居るの？」
「ううん、実は一緒に暮らしてるの男子だけなんだよね」
「...えっ！？何て言った！？」
「男子だけ...」
「サラっと爆弾発言」

ひゃー...って変な声を出してアカリは背凭れにドサッと背中を預けた。

「それ、違う意味で大丈夫なの？」
「うん。良い人達だし」
「良い人でも男でしょ？何があるか分かんないじゃん」
「んー...誰も私を女扱いしてないからなぁ...」
「そうなの？」
「そうなの」
「それはそれで悲しくない？」

悲しいのかしら。
居心地は良いんだけど。

「でもその意地悪して来るって人は、もしかしてAの事好きなんじゃない？」

アカリがフフンと笑って、また身体を前のめらせる。

「好きな子には意地悪しちゃうって言うし」
「それ、小学生とかでしょー？」
「男はいつまでも子供だよ」

私に意地悪するオトコであるニノくんを頭に思い浮かべてみたけど、どう考えても私を好きなはずが無い。
何かもう、同性のお友達みたいな感覚。

「無い無い！だって、その子ちゃんと好きな人居るもん」
「えー、なーんだ」
「アハッ、何でガッカリするの」
「ねぇ、どんな人達なの？ルームメイトって言うのかな、シェアメイト？」
「まずオーナーのお孫さんが居るんだけど、お坊さんで誠実で穏やかで、でもちょっと女の子を惑わすタイプ」

アカリが「女の子を惑わす？」ってオウム返しして来たから「無自覚の女たらしって感じ」と応える。

「で、絵本作家の人は優しくてお兄ちゃんみたい。私に意地悪する子は、仕草とか女の子みたいでモテそう」
「うんうん」
「あと、SEしてる子は丁寧に暮らしてる感じかなぁ」
「最後だけ抽象的過ぎて全然分かんない」

ケラケラ笑ったアカリが「その四人と咲くんと、Aが一つ屋根の下って訳ね」と納得したように頷いた。

「あ、そうだ。前にかき氷したんだけどその時みんなで撮った写真あったはず...」

ふと思い出して、その時の写真をスマホの中から探してアカリに見せる。

セルフタイマーにしてお庭から縁側を撮った写真。
縁側に私と、スプーンを前に突き出して笑ってるニノくんと、スプーンで視力検査みたいに片目を隠してる潤くんが座って。
その後ろで智くんが青くなった舌、翔さんが赤くなった舌を出してる。
そしてシャッターを押してくれた雅紀くんは、私達の前にしゃがんでダブルピース。

「...これは少女漫画？」

アカリが彼らを見て、絶句した。