PARACAGE 4th【ars】 (ページ10)

今日:3 hit、昨日:22 hit、合計:1,690,001 hit

115.出て行く。ページ10

家に帰ると、雅紀くんは既に家に居た。
聞くと、彼が返信したのはもう最寄り駅まで帰って来てた時らしい。

久し振りに6人でダイニングテーブルを囲んで、潤くんの作った冷やし中華を食べる。
「手抜きに見えるかもしれないけど、冷やし中華は結構面倒臭い」とゆー潤くんの主張を聞きながら。
きっとちゃんと聞いてたのは翔さんだけだけど。

私の隣では雅紀くんが「錦糸卵好き」って言いながら、麺をすすってる。
最近、隣に雅紀くんが座る事が多い。
ニノくんが何気無くそうなるように促してる事に気付いたのは、ついこの間。

食事を終えて、喫煙する3人は縁側に並んで一服。
智くん、翔さんと私、それからニゴはリビングでテレビを観ながら雑談。

「何か蒸し暑いねぇ...」

縁側の雅紀くんが言う。

「暑いなぁ...この時期でこんな暑かったら、真夏にはオレ溶けちゃうよ」
「何か今年、春短くなかった？」
「ねぇ、それ毎年言ってない？」
「言ってる」

ニノくんと潤くんがアハーって笑い合ってる。

「よしっ！ちょっと俺、出掛けてくる！」

雅紀くんが立ち上がって、バタバタとリビングを出て行ったと思ったらそのまま玄関の扉が開閉する音が聞こえた。

ちょっと...あの人、どこ行った！？

「ま、すぐ帰って来るね。あれは」

私の心を読み取ったように、ニノくんが呟く。

「...どうして分かるの？」

雅紀くん、出て行ってそのまんま帰って来ない事なんてザラにあるのに...

「だって、部屋着のまま出てったでしょ？」

確かに着替えずに出てった。

「アイツ、遊び行く時に部屋着なんて絶対ありえ無いもん」
「あー...」

夜中に家を出て行った時の雅紀くんを思い出す。
そうだ、そうだった。
髪までちゃんと整えてた。

「だからコンビニかスーパーだな。酒でも買いに行ったんじゃない？」
「雅紀、暑いって言ってたしなー」
「酒、自分のしか買ってこなかったらどうする？」
「有無を言わさず奪う」
「加勢する」

縁側の2人が楽しそうに話してる。

リビングの2人はもうテレビは観ずに、談笑中。
それがうるさかったのか、ニゴは私の膝に乗って丸くなった。

ニノくんの言う通り、雅紀くんは30分くらいしたら両手に袋を提げて帰ってきた。

「ねぇ！今年初のかき氷パーティーしよ！」

はぁ？と言ったニノくんが立ち上がって雅紀くんの持ってる袋を覗き込んで、その中からいちごシロップを出して「この人、本気だ」って私達を見た。