PARACAGE 4th【ars】 (ページ16)

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121.叫ぶ。ページ16

アカリに腕を掴まれてバックヤードまで連れてかれる。

「ちょ...まだ仕事が...」
「説明しなさい！」
「何、を...」
「とぼけなさんな！今の、咲くんでしょ！？」

両肩をガクンガクン揺らされて、首がガクンガクン上下した。
酔いそう。

「あの...これには事情がありまして...」
「だからその事情を説明しなさいって言ってんの！」

ガクンガクン。

「酔う...」
「いつの間に咲くんと知り合ったの、ってゆーかめっちゃ親しそうだったんだけど！あ、ナンパ！？そうだ、ナンパか！咲くんって緩いみたいだし！」

私をガクンガクンさせながら、アカリが「なるほど！」と目を開いた。
酔う。

「止めて...ホントに酔う...」
「あ、ごめんごめん」

パッと肩を離して貰って、やっと落ち着く。

「ナンパでは無くてね」
「うん、違うの？」
「違う。でも、何だかんだあって知り合いになったの」
「その『何だかんだ』を端折ったらダメでしょ！」
「でも話せば長くなるんだってば！」
「A、この後の予定は？ちょっと飲み行こ。詳しく聞かせて貰わなきゃ」

アカリがブツブツ言いながら腕時計を見て「あ、もう18時になってた」ってロッカーの方へ歩き出した。

「ごめん、この後は予定が...」
「まさか、咲くんと？」
「そのまさかです…」
「嘘でしょー！？」

嘘みたいだよね、私もそう思ってるんだから。

「でも、初めてだよ！？誘われたのなんて...」
「咲くんに誘われたの！？」
「あ、いや...明日！明日、ちゃんと説明するから！」
「...分かった。明日必ずね？」

私が頷くと、アカリはフフッて笑った。

「まぁ、何だか分かんないけど夢みたいじゃん。良かったね、デート！」
「デートなのかな...単なる食事だと思うよ」
「ご飯だけじゃなくて、Aまで食べられちゃわないように気を付けてよー？」
「えぇっ！？」
「あ、でも咲くんならワンナイトでも全然いっかー」
「よよよよよ良くないよ！！」

色んな意味で良くないよ！！！！

「何を必死になってんの」

アカリがケラケラ笑う。

「そんなに必死になってると、ワンナイトじゃなくて彼女になりたいみたいだよ？」
「そんな訳...」

.......あるのかな…、やっぱり。

ロッカールームに入ってスマホを見ると、LINEが届いてた。
初めてグループLINEじゃない、雅紀くん個人からの。

『そこの本屋で待ってるね』

何でも無いメッセージに、心がヤッター！って叫んでる。
うるさいくらい、叫んでる。