PARACAGE 3rd【ars】 (ページ24)

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94.二人分。ページ24

四人でダイニングに座り、雑談。
途中私がお風呂に行って抜けたけど、出て来た時もまだ三人が喋ってたからそこに私もまた加わった。

「あ、そうだ。AのLINEってオレ知らない」

ニノくんが言うと、智くんも「おれも知らない」って言う。

「契約の書類に書いてあったから携帯番号は知ってるけど、LINEは聞いてなかったですね」

翔さんにも言われて、そう言えばそうだったな！と思った。
同じ家に住んでるからなのか、知らなくても不便が無かったから。

その場でIDを交換して、それぞれのアイコンを観察。
智くんはニゴ。予想通り。
翔さんは桜の樹。これも、何となくイメージ通り。
ニノくんは、ハンコ文字で『二宮』。可愛いルックスなのに渋すぎる。

「テラハウスのグループラインあるから、招待しときますね」
「え...グループ...」

翔さんに言われて、心臓がギュってなった。
だってそれって雅紀くんも居るって事だよね...どうしよう、どうしよう、どうもしないんだけどどうしよう...！

「って言っても、稼働してるのは連絡事項がある時くらいですけどね」
「トイレットペーパー誰か買って来てー！とか」
「同じ家に住んでるから、そんな緊急に伝えたい事も無いもんねぇ」

三人が呑気に喋ってる。
私の一人パニックになんか気付かずに。いや、気付かれても困るけど。

その時、玄関のドアが開く音と大きな笑い声が聴こえた。
笑い声の主は、二人。

「雅紀？」

一人は翔さんの言う通りの人物なはず。
でも、もう一人は...

「ただーいまー！」

ダイニングのドアを勢いよく開けたのは、やっぱり雅紀くんで

「今日、ちょっとお客さん連れて帰って来たからよろしくね！」

その後ろに、女の人の姿がチラっとだけ見えた。

ドアが閉められて、またクスクス笑ってる男女の声と階段を上って行く音が響く。

「酔ってんな、あれ」

ニノくんが呆れたように言って「酔ってたねぇ」って智くんが困ったように笑った。
翔さんは、やっぱり眉間に皺を寄せて溜息。

数秒後、バタバタと階段を駆け降りて来る音がしてまたダイニングのドアがバーンと開いた。

「洗濯物、取り込んでくれてありがと！Aちゃんでしょ？」
「え...？何で分かったの...」
「だって、カゴに入れといてくれるのなんてAちゃんだけだと思って！」

雅紀くんがニッコリ笑う。
お酒に酔った、トロンとした目で。

あぁいやだ...

私、こんな時ですら格好良いと思ってる。