PARACAGE 3rd【ars】 (ページ5)

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75.通勤ワイ談。ページ5

「あ、そう言えば」

ニノくんが、こっちを見た。
何かちょっとニヤニヤしてて、悪い予感しかしない。

「潤くんから聞いたんだけどさー」
「何ですか...」
「相葉さんが連れ込んだオンナノコと鉢合わせたらしいね！」

うっわー！地雷！
地雷踏まれた！めっちゃ笑顔で、面白そうに踏まれた！

「どんな子だった？」
「...さぁ...ちゃんと見てないから...」
「えろい格好してたんじゃない？オレ、ブラ姿の子と鉢合わせした事あんの」

...勘弁して、雅紀くん...そしてニノくんも...
もう私、ノックアウト寸前...

「ちゃんと服は着てた...シャツ一枚だけど...」
「それ、逆にえろくない？」
「逆に？」
「逆に」
「逆」

逆って何だろね、なんて二人でちょっと笑う。

「あー、でも大丈夫だよ」
「大丈夫って、何が？」
「連れ込みOKってゆーか、まぁ普通に言えば入居者以外の友達とか連れて来て良いよってコトなんだけどさ」

あ、それってアカリもOKって事か。
......って、やっぱり呼べないけど。

「性行為は禁止だから」
「はっ！？」
「え？聞こえなかった？せ・い・こ・う・い。セック...」
「あぁぁ！それは分かってるけど！」

もう...って軽く睨んだら、テヘって笑われた。

「だから、そーゆー気まずさは無いよ。お隣さんでも」
「......」
「今までも喘ぎ声は聴こえた事無いし」
「あえ...っ！」
「残念ながら」
「ちょっと！何を期待してるんですか！」

またテヘって笑ってる。

「まぁ、声を押し殺してヤってんのかもしんないけど。興奮するよね、それはそれで」
「あの...この話はいつまで続くんでしょうか...」
「あらあら？Aって純情？もしやバージン？」

呆れて溜息を吐き出すと、ニノくんは「ごめんってば！」って私の肩をポンポン叩いた。

「別に、純情じゃ無いです。そーゆー話も、大丈夫」
「じゃあ、何でそんなに嫌そうなの」

それは...

それは、聞きたくないから。
雅紀くんのそんな話、聞きたくないから。

...なんて、でも言えないし...

「爽やかな朝からする話じゃないでしょ！」

私がそう言うと、ニノくんも「確かに飲み屋でするよーな話だな！」って笑った。

そこからは、潤くんと観た映画が面白かったって話や、ニノくんの実家で飼ってるワンコの話や、どうでも良いような雑談をして。
電車も一緒に乗り、途中で乗り換えの為に降りるニノくんを見送って。

ふと上を向くと、メンストの中吊り広告の『咲くん』と目が合った。