PARACAGE 2nd【ars】 (ページ33)

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68.成り行きのコイバナ。←5.7 ページ33

「図星？」

その言葉に反応せずにモグモグしてたら、今度は「栗、おいし？」って訊かれたからそれには頷く。
そしたら、ンフフって笑いながらニノくんは乗り出してた体を戻して椅子に深く腰掛けた。

また二人で甘栗の皮をパキパキ。
パキパキ。
私が剥いた栗をやっぱりニノくんに横取りされて、小競り合い。

「A？オトコの為に栗剥いてやれる位じゃなきゃ、好きな人に振り向いて貰えないぞ？」
「なっ...！ニノくんこそ、デートに誘う位しなきゃいけないと思うけどっ！」
「何？それ」

ニノくんがキョトンと私を見る。

「だってニノくん、好きな人居るんでしょ？」
「え？」
「あ.....」

...ヤバイ...、勢いで言っちゃったけど知られたくなかった事なのかもしれない...
だったらそれを教えてくれたのが智くんだってのは、絶対言っちゃダメだ...！
揉め事になっちゃうかもしれない！

そんな事をモヤモヤと考えてたら「うん、居るけど」ってニノくんは、何でも無いように普通に答えた。

「あ...居るんだ...」
「居るよ。何なの、ダメなの？」

クスクス笑って、もう食べ飽きたのか剥いた栗を私にくれる。

「ねぇ、もしかして片想い？」
「何なのホント、ワクワクした顔してんじゃないよ」
「え？そんな顔してないですよ？」
「してるわ、バカ」

ニノくんが腕を伸ばして、私のおでこをグーでコツンと軽く小突いた。

でも確かに私、ワクワクしてる...！
聞いちゃダメな事かと思ってヒヤヒヤしたけど、そうじゃなさそうだと分かったらコイバナしたくなるのが女子のサガ！

「ねぇ、片想い？」
「まだそれ訊くか」
「アハッ、気になっちゃって」
「フフッ...ホントお前、バカ」

マメなのにデートしないけど好きな人は居る。
って事は、片想い。

「片想いじゃねぇよ」

え？
片想いじゃない、ってそれは...

「両想い...？」
「今どき、両想いって言うの？」
「あ、そっか！彼女！」
「そーそー、カノジョ」
「彼女居たんですね！そうなんだー、へー」

思わずニタニタしちゃって、またおでこを小突かれた。

「あれ？じゃあ何で週末あんまり出掛けないんですか？」
「え？」
「デートしてる気配が全然無いから」
「デートは平日の仕事終わりにしてるもん」
「あ！彼女さんはサービス業なんですね、私みたいな接客とか！」

それなら週末はなかなか会えないかも。

「いや、同じ会社。休みもオレと同じ週末」

ニノくんはやっぱり、何でもない事のように普通に答える。