PARACAGE【ars】 (ページ8)

今日:2 hit、昨日:30 hit、合計:2,217,391 hit

8.チップとデール。ページ8

「あのー...」

猫の彼に声を掛けると「ん？」って振り返る。

「智くん...って呼んでも大丈夫ですか？」
「うん。呼び捨てでも良いし『さとちゃん』でも『さとち』でも良いよ？」
「んー...智くんにしときます」

私が言うと智くんはふふっと笑って、ふわふわとリビングの方へ行きソファにニゴと一緒に腰掛けた。

「Aも座んな？」

キッチンから出て来たニノくんに声を掛けられて、私もソファに座る。
何となく、ニノくんの隣。

「ほい、おやつ」

ニノくんがポイポイと個包装されたワッフルを私と智くんに渡した。

「さっき買って来たの、そこのスーパーで」

そう言えば玄関の前であった時スーパーの袋提げてた、ニノくん。

「うちの人達、みんなこれ好きだよねぇ」
「アホの一つ覚えみたいに、こればっか食べてるよな」

智くんとニノくんがニコニコしながらワッフル食べてる。
何か、あれみたい。チップとデール。

「あ」

私もモソモソ食べてたら、膝にニゴが乗っかって来た。
可愛い。

「ニゴー、やっぱ女の子が好きなの？」

智くんが言うから「ニゴは男の子？」とニゴを持ち上げてお股チェック。
男の子だ。

「あはは！Aちゃん、えっちー！」
「Aお前、もっとコッソリ見てやれよー！」

二人がケラケラ笑ってる。
益々チップとデール感。

「この子、何でニゴって名前なんですか？」
「本当は『サトシ二号』なんだけど、長いから通称『ニゴ』なの。似てない？大野さんとニゴ」
「あ、言われてみれば...」

ニゴを見て智くんを見て、またニゴを見る。
ンナーとニゴが鳴く。可愛い。

暫くすると膝で寝てしまったニゴの背中を撫でながら、「智くんってニノくんと同い年くらいですか？」と訊いてみる。
さっきから二人のやり取り見てると、そんな感じ。
でも智くんの雰囲気幼いから、もしかして私と同じ位？

「ううん、ニノよりおれの方が年上。31だもん」
「さっ...！？」
「31」
「...冗談じゃ無くて？」
「なになにー？40位に見えた？」

ふふって笑ってる智くんに「逆です！」って突っ込んで、すぐにハッ...と気付く。

「私、五歳も年上の人をくん呼びとかめっちゃ失礼な事を！智さんって呼びます！」
「えー？良いよぉ」
「でも...」
「気にしないで？」

可愛らしい犬歯が覗いた口元が、どう見ても三十路じゃなくって

何だか分かんないけど恥ずかしくなって、ニゴの背中をゴシゴシ撫でた。