PARACAGE【ars】 (ページ25)

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25.忘れてた。ページ25

部屋に戻り、窓辺にキャリーを移動させてその上に折畳み鏡を載せて簡易化粧台を作る。

「ドレッサーは無くても良いけど...さすがにローテーブルは欲しいなぁ...」

この先のインテリア計画をブツブツ呟きながら、ポーチから化粧品を出しつつ、やっと気付いた。

私、スッピンなんだ...！！

昨日ニノくんと智くんの前に出た時はちょっと気にしてたのに、今朝は自分がスッピンだって事をすっかり忘れてた！
...忘れてたってより、そんな事に構ってられない事が多過ぎたんだ。
だって雅紀くんが同じ家の中に居るなんて、たった一晩で整理できる事じゃないでしょ。

ってゆーか！
雅紀くんにスッピン見られたじゃーぁん...絶望...。

でも一緒に暮らすってのは、いちいちこんなの気にしてられないって事か...。
既に見られちゃったもんは、もう仕方無いんだし...。
それに時々ならともかく、毎日素顔風メイクなんて出来る気がしない...。

「あー...どーなってるんだ...」

一応、お客様の前に出るお仕事をしてる身。
自分がスッピンかどーかを忘れるなんて事は、まず無かったのに。
それだけ、衝撃的なんだ。この同居生活は。

メイクして、髪を整えて、持って来てた服に着替えて。
若干目が赤いのは仕方無い。寝不足だ。

ちょっと早いけど、ここから店までどれ位かかるか分からないからもう家を出ようと1階に下りてリビングに顔を出す。

ソファに座って雑誌を読んでる潤さんに「行ってきます」と言うと「仕事、何時まで？」と訊かれた。

「あ...今日は早番なので何も無ければ18時までです」
「何か食えないモン、ある？」
「え？」

どーゆー事だろう？と思ってると、ダイニングの方から入って来たニノくんが「おはよー…晩飯の話？」ってアクビ混じりに言いながらこっちに来た。

「日曜は住人が揃ってる事が多いから、潤くんが作ってくれんの。全員分」

ねー？って首を傾げながら、ニノくんは潤くんの隣にポスンと座る。

「一人分作るのも全員分作るのも、変わんないから」

あ。コーヒーの時と同じ事言ってる。

「私も...良いんですか？」
「良いから訊いてんだろ？あ、でも食費は貰うから」
「払います！払います！うわー！嬉しい！」

何か疲れ切ってたから自炊するなんて考えられずお弁当を買って帰ろうと思ってたのに！

「で、好き嫌いは？」
「グリーンピースが苦手です！」
「グリーンピース？あれ嫌いになる程、味あるか？」

潤くんがハッと笑った。