僕、悪い子なんです (ページ6)

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＿＿＿＿＿傷だけは増やさないであげてください

その言葉は、あの夢に続いて頭から離れられなくなった。
整った顔で苦く笑うその生徒もつけて。

＊

今日もまた複雑な気持ちになりながらの仕事で疲れた中、ライトがチカチカと光り始めていく通っていく人が少ない場所を歩いていれば、角のところで何やら声が聞こえてきた。

何だろう、かと覗こうとすれば平手打ちをしたような音。事が起きたようでこれは見捨てる訳には行かない。盗み聞きになってしまうだろうけれど、反対の角へと見えないように覗けば、見かけたことがあるような青年が男に追い詰められている。ソクジンが壁に背をつけながら追い込んだ見知らぬ男性を見上げるようにしたその顔は、身体も震えるほどの、冷たい睨みつきをしていた。あの表情は、見たことがなかった。怒ると怖いとは、クラスの誰かが言っているのを聞いたけれど。

｢最低｣

その言葉が人が通らないからか、静かな夜の中いつもより低いその低音の声が響いた。俺に言った訳でもないのに、何だか身体がゾクリと震えた。思わず後退りしようと踏み付けるように片足を動かせば、トン、とコンクリートの音が鳴ってしまい、勢いでソクジンが此方を見たのでバッと見えない方へと壁の方へ背を向けた。すると、ソクジンが逸らしたせいか"こっちの心配した方がいいんじゃないか"と見知らぬ男性は言い、自分が鳴らした音よりも大きな音が響く。
チラリとまた2人の方を見れば言われて平手打ちされてキレたのか男の大きな片手でソクジンの細い両手首を頭の上で掴んでいた。ギシリと音がなるほど強く掴まれていて、痛々しい。

「いた、ぃ...離してよ！」

「さっきの通りすがりの男の前でやるか？それが嫌なら、俺の言うことを聞くんだな」

選択肢を言われたソクジンは目を見開いた。ああ、俺のことがバレてしまったであろう。それは、と焦っているのが分かりやすく顔に出てる。数秒、数分経てば彼は小さく首を振って、

「 ...聞く、から...それだけはやめて... 」

そう言った彼は、泣きそうな程哀しい顔をしていた。

俺は、自分の家に帰ったあと思い出した彼の顔、そしてあの男との行為の想像に、頭をぐしゃぐしゃとしたまま横になった。