♪ワルシャワの秋 Sho.S.♪2.5 修正版

独占単独インタビュー ページ26

＠ブリストルホテルの一室(取材場所)

しばらくすると、Aさんが登場した。

男装の麗人姿の、ステージとは打って変わり、
膝丈のＡラインのアンティーク風のワンピースにヒール、
メイクスタッフにしてもらったのか、髪はカールしておろされ、
耳元にはパールのピアスが上品に輝いていた。

さらに、派手ではないが、彼女の目鼻立ちのよさを引き出すような、上品で可憐さを引き出すようなメイクがなされていた。

今までのAさんからは、考えられない姿に一瞬思わず息をのんでしまった。

「こんにちは。櫻井翔の櫻井です。ファイナル進出、おめでとうご

ざいます。どうでしょうか？今の心境は？」

『そうですね・・・。今までの実績からして、まさか自分がここまで残るとは想像していませんでした。今回は1次予選から思った以上に好スタートでした。』

ふわっとした優しい雰囲気の中にも、どこか整然とた口調で進む。

「何か心当たりとかありますか？」

『あるとすれば、ひとつは今回の会場がアウェイでなかったこと、そしてショパンの育った街で何年も過ごし、あえて勉強しなくても、いつも身近にショパンを意識しながら、ピアノに打ち込めたことがよい方向に向かったのだと思います。』


「あと、どうしてドレスではなく、スーツなのでしょうか？」

「華美なドレスは時として、演奏内容とは関係ない要素を生み、妨げになります。聴衆の皆様に自分の音楽に集中してもらいたいのです。」

とあっさり言い切った。見かけとは違い、このような些細なことにも気を配る、演奏家としての確固たる姿勢を改めて感じた。

「会場では、入賞いや優勝候補とも言われていますが、いかがでしょう？」
(しばらく、インターバルをおいて)
『とにかく、今までにおこなってきたことを最大限に発揮できるように演奏するだけです。そして、もうファイナルなので、結果云々を考えないで、楽しみながら自分の納得いく演奏をするだけです。』


さらに、コンテスタントとの談笑のことや、普段のワルシャワでの生活など、コンクール以外のことも気さくに質問に応じてくれて、これがファイナル前のコンテスタントなのか？というくらい終始なごやかな雰囲気の中で進行し、有意義な取材となった。

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