子持ちの未亡人に恋をしました。【 降谷零】

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「ねえ、景光は………さ、公安の人間だったんでしょ？」




「………なんだよ突然」



「ほら、公安て家族にも身分明かせないんでしょ？」


「……まあ。」


「私いつかスーツから飛び出してるの見えちゃったんだよね。景光も生きているとき公安なんて教えてくれなくて、ペーペーの刑事だよとか言ってたけど」




私の問いかけにも歯切れの悪い答えしか返ってこないけれど、こんなことずっとずっと誰にも聞くことが出来なかった。









「そうだな、お前は昔から言いふらすような人間じゃなかったからな。もう守秘義務といっても言ったところでどうなるものでもないから教えてやる。…………アイツは警視庁の公安だった」









ようやく聞けた彼の所属先。
運悪く私が知ってしまっていたけれど、景光から決して仕事や所属の場所なんかは語られることは無かったから守秘義務としてはちゃんと守ったんだね。









「………彼はどうして、ってのも聞いていいのかな？」









ずっと、ずっと聞きたかったこと。

黒田さんからは事件に巻き込まれたとしか知らされていない。
詳細を聞きたくても事件と深く関わるからと教えてもらえなかった。
景光は殺されたのか、誰かを守るために死んだのかそんなことさえも知らされずある日突然訃報が私の所に来たのだ。



死亡経緯は語られない、遺体もない。
ただ言葉だけでもって景光はもう帰ってはこないという。
死んだという事実がどうにもこうにも受け入れられなくて。
幸いなのか娘は記憶がまだほぼできていないときだったから、父親というものがいたという事実すら朧気で泣かれるようなことはなかった。









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