トリプルフェイスさんが育休を取るって聞かない話【降谷零】【安室透】

育休10 ページ10

残念なことにここは分娩は取り扱っていないようで
結局零が調べあげてくれた産院の中から吟味して近所の産院に決めたのだ。
立ち会い出産や分娩スタイルを様々に選べるようで
産後のマッサージや食事なども申し分なく、まさに求めていたことばかりがある夢のような産院が近所にあることがなによりありがたかった。


実家の母にも妊娠をつたえたところ産後のケアは任せて！と心強い言葉を貰ったので零の仕事が立て込んでしまったとしても大丈夫そうだ。






｢零、大丈夫？｣



診察室をでても尚、あんなにいつも饒舌に語る零が黙り込むのはおかしいと顔を覗き込むと
零の透き通るような瞳は潤んでいた。



｢えっ、ちょ、零？｣

｢あ、ああ……すまない。思いのほか感動したらしい。こんな小さな命がAの中で一生懸命に生きているんだな……｣


指一本程もまだ満たない小さな身体を自分の指と見比べてそっと私のお腹に手を当ててくれた零。
愛おしそうに言う零の顔は、すでに父親の顔をしていた。
父親ってなかなか父性に目覚めにくいといわれているけれど零には当てはまらないのかもしれない。


産まれる前からこんな父親孝行なこの赤ちゃんはどう産まれて来てくれるのだろう。







どうか、どうか無事にうまれてくれますように。









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