桃色の指先と翡翠の憂鬱 37

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家に帰ると、川島先生がソファに俺を降ろしてくれた。


川｢阿部先生、見れます？｣

阿｢怪我は慣れてるから｣

両方の足の親指と人差し指の間の皮がめくれて真っ赤になってる。

夜道で暗かったからよくわからなかったけど、盛大にやってしまったな。


佐｢あべちゃん、皮めくれてる…｣

真｢すみません、俺が借りたから｣

阿｢ううん。さなぴーも赤くなってるじゃん｣

川｢阿部先生、しみますね、これ。でも、貼る前に綺麗にしないと｣

佐｢シャワーだけにする？｣

阿｢そうする｣

川｢先にどうぞ。浴衣はクリニーングに出しますね｣


川島先生がついてきてくれて、足をシャワーで流した後に、めくれたところを拭いて、絆創膏を貼ってくれた。

川｢これはモイストヒーリングと言って早く治りますよ｣

阿｢ありがとう。如恵留は詳しいね｣

川｢元ダンス部顧問ですからね｣

阿｢元じゃないよ。今はお休み中なだけ｣

川｢もう痛くないはずです。洗ってきてください｣

阿｢うん｣


シャワーをかけても、もう痛くない。

この絆創膏がめくれた皮膚になってくれてる。

体と頭を洗って出ると、佐久間がタオルを持って待っててくれた。


佐｢あべちゃんどうぞ｣

阿｢ありがとう。佐久間も入ったら？｣

佐｢うん。あべちゃん、紐解いてくれる？｣

阿｢いいよ｣

パジャマを着て、佐久間の浴衣の帯を解いた。

腰紐も取って、浴衣を脱がせる。

佐｢この開放感やばい｣

阿｢佐久間、ゆったりが好きだから甚平とかは？｣

佐｢ペアルックにして｣

阿｢良いけど、川島先生と話してみるね｣

佐｢うん。シャワー浴びまーす｣



川島先生はキッチンで立ったまま、ワインを飲んでいた。

阿｢ごめんね、俺だけ飲んで｣

川｢牛乳どうします？｣

阿｢少しだけでいいよ。一緒に飲もうよ｣

川｢はい｣

阿｢今、佐久間がシャワー浴びてるよ｣

川｢一緒に浴びてきますね｣

阿｢うん｣

キッチンで銀世界を撫でながら、いつもより少ない牛乳を飲んでると真田くんがシャワーから戻ってきた。

真｢銀世界ちゃんおいで｣

真田くんにも銀世界は懐いてる。

阿｢足、大丈夫？｣

真｢はい、川島さんが貼ってくれました｣

阿｢さなぴーに話があるんだけど｣

真｢なんですか？｣

阿｢外でアイス食べない？｣

真｢はい｣


冷凍庫からカップアイスとスプーンを出して、2人で外に出た。

浴衣を着てた時は暑かったのに、今はその暑さも心地よい。

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