桃色の指先と翡翠の憂鬱 30

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舘様が用意してくれたのは、ニース風サラダに、ラタトゥイユとチーズの入ったカツレツ。これは野菜のキッシュだ。

渡｢このカツレツさ、コルドンブルーって呼ぶんだぜ｣

阿｢コルドンブルー？｣

渡｢青いリボンって意味だけど、ほら、俺のチームカラー青だから。涼太がよく作ってくれる｣

阿｢ゆり組…｣

深｢リョウはゆり組ファンだよなっ｣

渡｢なんか恥ずかしいんだけど…｣

阿｢しょっぴー、ご飯食べられなかったことあるの？｣

渡｢涼太がフランス行った時ね。ご飯の味がしなくなっちゃった｣

深｢恋人と離れるってそんな辛いもんなのかっ｣

阿｢それ聞くと、ますます佐久間だけ留学は無理だ｣

渡｢さっくんだけ行かせる案もあった？｣

深｢俺は1年なら離れても行かせろって思ってたけど、リョウがご飯食べられなくなるなら応援出来なくなった…｣

阿｢あの人もだと思うよ｣

渡｢誰？｣

照｢は。なんで勝手に食ってんの？｣

パンツを履いて頭にタオルを巻いたひーくんがシャワーから戻ってきた。

阿｢あの人、来た｣

深｢確かにな。ひかるはさっくん命だからなっ｣

照｢さっくんがどうかした？｣

渡｢1人で留学は無理だって話｣

阿｢ひーくん、行かせるつもりないから安心して｣

照｢さっくん行くなら、俺は海外勤務の申請をする｣

深｢ひかる…警視庁だから東京から出られないだろっ｣

渡｢ひかるやばっ｣

阿｢俺が1番やだ。佐久間は留学させないよ｣

照｢着替えてくるから、そのカツレツ残しておいて｣

ひーくんが、2階へ駆け上がっていった。




渡｢ひかるのさっくん愛やばいな｣

阿｢慣れたし、佐久間はひーくん大好きだから感謝してるよ｣

深｢さなぴーとデートってお前、ひかるを煽っただろっ｣

阿｢事実だし。佐久間の周りにいちいち嫉妬しないようにしてる｣

渡｢お前、なんか余裕出て来たな｣

深｢ま。俺もひかるのさっくんへの愛に余裕出て来たぞっ｣

阿｢しょっぴー、舘様は忙しい？｣

渡｢うん。でも、涼太は忙しいと楽しいって。喜んでるよ｣



ひーくんがスーツに髪の毛をセットして戻ってきた。

黒のスーツにネクタイ。細身なのに肩幅はあって、逆三角の大きい背中に惚れ惚れする。

ひーくんは男が憧れる男だな。

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