桃色の指先と翡翠の憂鬱 30

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川｢レストランが混みそうですから、行きますよ｣

佐｢にゃはは。のえちゃん自分で回収してるー｣

阿｢少し待ってでも、ここで食べたい｣

佐 ｢ここ美味しかったよね｣

川｢僕も楽しみです｣


俺と佐久間は少し早歩きなのに、川島先生はのんびりと花や街並みを眺めてる。

阿｢如恵留、お腹空いてないの？｣

佐｢のえちゃんはせっかちさんなのに変でやんす｣

川｢あと10分あります｣

阿｢もしかして、予約入れてるの？｣

川｢はい。3人での貴重なデートですから、事前準備はしてます｣

佐｢のえちゃんかっこいい｣

阿｢如恵留、ありがとう｣


ゆっくりと園内のバラを眺める。

阿｢佐久間、バラのトゲは何本？｣

佐｢えっと…｣

川｢4本です｣

佐｢のえちゃん、ずるい｣

阿｢第2問、王子さまはいくつの星を巡ったでしょう？｣

佐｢7つ｣

川｢王子さまの小惑星入れて8つです｣

阿｢どっちも正解かな。巡ったと曖昧に表現しちゃったから｣

佐｢あべちゃん優しすぎ｣

川｢そろそろ行きましょう。時間です｣


3人でレストランに入った。

予約していたから、入口から遠く窓に近い良い席に案内してもらえた。

川｢僕は鴨のコンフィにします。あと、夕日のドリンクも｣

佐｢のえちゃん、さすが。値段より食べたいものだね｣

阿｢佐久間、俺と2人の時でも気にしなくていいよ｣

川｢阿部先生はお金使わないですもんね｣

阿｢うん。如恵留のおかげて家賃浮いてるし、随分と贅沢させてもらってる｣

佐｢のえちゃんって社長の給料ももらえるの？｣

川｢僕の分はね、株式会社だから固定給なんだよ。会社の株の配当金は僕のものだけどね｣

阿｢社長は大変？｣

川｢楽しいです｣

佐｢のえちゃんって、お父さんに似てるもんね｣

阿｢佐久間…｣

川｢僕もそう思うよ。経営の才能だけは感謝してる｣

佐｢のえちゃんってさ、お父さんの会社の株持ってるよね？｣

川｢それがどうしたの？｣

佐｢株主って偉いんでしょ？お父さんクビに出来るよね？｣

川｢うん。でも、僕は出来ないよ。解任した責任は負えない｣

佐｢のえちゃんのお父さん、のえちゃんのために働いてるんだね｣

川｢どうして？｣

佐｢だって、株で利益出たらのえちゃんがもらえるんでしょ？のえちゃんってお父さんに愛されてるね｣


佐久間…。

川島先生が株式会社にして、佐久間は固定給+歩合制の従業員になった。

会社の仕組みを勉強したんだな。

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