桃色の指先と翡翠の憂鬱 26

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お会計をトイレに立った川島先生が先に払っていて、こーじと川島先生で揉めた。

康｢川島先生、ここは俺が払いたかったんやけど｣

川｢僕は奢られるのが苦手です｣

康｢そうは言うても、今日は俺の奢りでかっこよく決めよう思うとったのに…｣

ラ｢こーじくん、次は先に払えば良いんだよ｣

阿｢こーじ、川島先生はいつもこうだから今日は抑えて｣

目｢拗ねるこーじも可愛いよ｣

康｢めめ、ほんま？｣

佐｢はいはい。イチャイチャはここでは止めて｣

佐久間の止め方は、俺と川島先生を止める時と同じだ。


佐｢挨拶して帰るね｣

佐久間が先頭で歩いてスタジオに入ると、片付けてるスタッフさん1人1人にお礼を伝えて握手してもらってる。

目｢川島先生の教えがさっくんにも生きてるっすね｣

阿｢あれは川島先生と出会う前からだよ｣

川｢佐久間は学校の事務方や守衛さん、用務員さんにも挨拶しますからね｣



こーじが撮ったものをまた見返してる。

阿｢これいつ出来るの？｣

康｢編集して、クライアントに見せて、直しがあったら伸びるから1ヶ月くらいかな｣

川｢この曲はいつ発売なんですか？｣

康｢秋の予定｣

阿｢そんな先なの？｣

康｢MVは出来たら出しちゃうから、そんな先やないよ｣

目｢映画とか編集に半年かけたり、2年先の映画の話とか、年単位で仕事してるっす｣

阿｢へー｣

川｢佐久間の卒業前に仕事が入ると良いですね｣

阿｢そうだね。ニューヨーク行けないね｣

目｢リョウさん、俺がその仕事頼むっすよ｣

阿｢めめ、もうCMに呼んでくれただけで十分すぎるよ｣

川｢事務所のことも目黒さんのご迷惑になりそうで｣

康｢リョウさん、川島先生、勘違いしとる｣

阿｢こーじ、勘違い？｣

康｢このMVは確かに俺がさっくんをキャスティングしたんやけど、めめのCMはあちらさんからの要望や。さっくんは身体能力が高いって｣

川｢目黒さん、どこの企業の広告か教えていただけますか｣

目｢総合商社のCMなんです。なんで俺って感じなんですよね｣

阿｢総合商社…｣

川｢全く…また勝手に関わってきましたね｣

康｢どういうこと？｣

阿｢たぶん、裏に川島先生のお父さんがいる…｣

川｢目黒さん、この事は佐久間に内密にお願いします｣


川島先生のお父さんの会社が、取引先に佐久間をCMに使えと圧力をかけることなんか簡単だ。

無名の佐久間をいきなりCMに呼ぶなんて、やっぱり裏があったんだ。

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