桃色の指先と翡翠の憂鬱 26

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康｢ほんまはタイ料理に行きたいんやけど、ラウが苦手なんで、ふつーの店な｣

目｢こーじ、タイ料理店以外は全部普通なんすよ｣

ラ｢辛いし酸っぱいし、味が複雑で｣

川｢僕はパクチー苦手なので、ラウと一緒だね｣

佐｢のえちゃん、嫌いなものないと思ってた｣

阿｢初耳だよね｣


こーじと川島先生が相談して、何品か頼んで取り分けることになった。

こーじのふつーの店は、イタリアンレストラン。タイ料理以外はふつーの店って面白い。

佐｢佐久間さんピザが食べたい｣

川｢佐久間、トマトが好きだもんね。頼んであるよ｣

阿｢佐久間、結婚指輪とブレスレット返す？｣

佐｢んーん。家に帰ってからでいいよ｣

ラ｢リョウさん、見せてもらっていい？｣

阿｢うん。これは佐久間のね｣

佐久間の結婚指輪とブレスレットをラウに渡す。

ラ｢11221127って？｣

阿｢俺と川島先生の誕生日だよ｣

佐｢素数なんだよねー｣

川｢阿部先生、素数好きなんで｣


目｢川島先生、さっきのCM話…｣

夏に撮影って言ってたけど、準備もあるだろうし。すぐに返事をした方が良いのかな。

川｢はい｣

目｢どうっすか？｣

川｢女装が引っかかってしまって…｣

阿｢川島先生は毎日マイノリティの子と向き合ってるからね｣

ラ｢川島先生が気にしてるのは、女装することを面白おかしくからかうのがダメってことですよね｣

川｢ラウの言う通りだよ。彼らを傷付けたくはなくて。男らしさ、女らしさって結局、自分らしさなんです｣

目｢自分らしさっすか｣

康｢難しい話やんな…｣

川｢自分らしさが、社会の求める理想に合致しない人もいるし、とても敏感になってる子も多くてね｣



佐｢のえちゃん。俺のコスプレは、周りを傷付けてたかな？｣

川｢そんなことないよ。佐久間、ちゃんと意見を通せるよね？｣

佐｢うん。俺は嫌なことは嫌って言えるから大丈夫だよ｣

川｢佐久間に判断は任せるよ｣

阿｢佐久間、受けるの？｣

佐｢めめ、よろしく。俺はダンスで勝負してるから、見た目はなんでもいいよ。ピエロでも俺のダンスで魅せるから｣

目｢ピエロ…｣

ラ｢さっくんなら人を不快にさせないよ。僕はさっくんのダンス楽しみ｣

佐久間がラウを見て微笑んだ。

ダンス仲間でもあるラウにも背中を押してもらえた。

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