桃色の指先と翡翠の憂鬱 26

・ ページ41

佐｢あべちゃん｣

康｢リョウさんごめん。撮影優先して｣

佐久間とこーじがベッドに座る俺に2人で抱きついてきた。

こーじは号泣してる。鼻が真っ赤だ。

阿｢俺こそ、撮影の邪魔してごめんね｣

佐｢あべちゃん大丈夫？｣

阿｢うん｣



康｢もう撮影終わりやから、みんなでご飯いこか｣

佐｢こーじ、下にご飯用意されてるよ？｣

康｢あれは、めめからスタッフさんへの差し入れやで｣

阿｢めめが？｣

康｢うん。めめ、ギャラより多く差し入れしたりするねん｣

川｢目黒さんらしいですね｣

阿｢如恵留と似たようなもんだよ｣

佐｢こーじ、着替えてくるね｣

康｢俺もちょっと指示出してくる｣



川島先生が手を引いてくれてベッドから立ち上がった。

阿｢如恵留、なんで倒れたんだろ…｣

川｢阿部先生は佐久間の表情や表現に対して過敏過ぎるんです｣

阿｢だからあいつ、いつも笑ってるのかな…｣

川｢佐久間は阿部先生がいるだけで幸せなんですよ｣

阿｢そっか｣

川｢佐久間はずっと幸せなんです｣

阿｢うん。ずっと幸せでいてもらうよ｣


佐久間が俺に駆け寄ってまた抱きついた。

着替えが終わってメイクを落として、いつも佐久間に戻ってる。

佐｢あべちゃん、すごーく楽しかった｣

阿｢良かったね｣

佐久間の頭を撫でる。

川｢降りてみなさんにお礼を伝えましょうか｣

阿｢うん。佐久間いこ｣

手を繋ごうとして、佐久間が手を引いた。

佐｢あべちゃん、隠すんだよ｣

阿｢ごめん｣

川｢阿部先生は僕とどうぞ｣

川島先生に手を繋がれて、佐久間のほっぺが膨らんだ。

佐｢のえちゃん、意地悪｣

川｢佐久間、僕を隠れ蓑にするんだよ｣

佐｢かくれみの？｣

川｢佐久間が同性と結婚してるってバレないように、僕が隠してあげるからね｣

阿｢如恵留…｣

佐｢学校と同じってことだね｣

川｢そう。僕は佐久間を守るためなら、佐久間と結婚してることを隠すし、前に出ることも厭わないよ｣

阿｢如恵留、ありがとう｣

川｢阿部先生も前に出るんですけど…｣

佐｢あべちゃん、のえちゃん、ありがとう｣

川島先生と手を繋いで、下の階に降りて荷物を持って、さらに1階のスタジオまで降りた。

めめとラウで撮影してる。

カメラマンはもちろんこーじ。

・→←・

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す