桃色の指先と翡翠の憂鬱 26

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佐｢あべちゃん、緊張で倒れないでね｣

阿｢うん。受験より緊張してる｣

川｢佐久間、確認なんだけど、向井さんと目黒さんの関係は隠してるよね？｣

佐｢うん｣

阿｢佐久間、結婚指輪預かっとくよ｣

川｢佐久間も隠さないとね｣

佐｢はーい｣

佐久間の結婚指輪を受け取って、左手の薬指に重ねてつける。

阿｢佐久間、怪我のことどうする？｣

佐｢両手でって言われたら話す｣

阿｢了解｣


集合時間より30分早く着いた。

撮影スタジオの入り口で、川島先生が佐久間の名前を伝えて通してもらった。

コンクリート打ちっぱなしの大きなビルだ。

もうこーじの車が止まってる。

車を降りると、俺くらいの歳の人が走ってきた。

ス｢佐久間大介さんですよね｣

佐｢はい｣

ス｢今日お手伝いするスタッフです。こちらへどうぞ｣

スタジオの奥には真っ白なスクリーンがあって、手前には沢山の機材が置かれている。

スタッフの数は20名以上いる。

こんなに人が必要なのかな。

川｢阿部先生、もっと小規模かと…｣

阿｢俺も…｣

スタッフの案内で階段を登ると、ソファとテーブルがあって、奥にメイクルームが見えた。



ソファにラウが座ってる。

ラ｢さっくん、リョウさん、川島先生おはようございます｣

佐｢ラウー｣

佐久間が立ち上がったラウに抱きついてる。

ラ｢見学に来ちゃいました｣

ス｢佐久間さん、こちらでメイクを｣

佐久間と川島先生がメイクルームに入った。

阿｢ラウ、こーじは？｣

ラ｢こーじくんはもうひとつ上にいるよ｣

阿｢挨拶してくるね｣

ラ｢今、撮影中だからここにいたほうが｣

阿｢撮影中？｣

ラ｢めめのシーン撮ってる｣

阿｢もう撮影してるんだ｣

ラ｢リョウさんは寛いで。めめとこーじくんの友達なんだし｣

ラウはのんきにソファに座ってるけど、俺は場違いな気がする。



川｢阿部先生良いですか？｣

阿｢なに？｣

川｢佐久間が呼んでます｣

メイクルームでバスローブに着替えた佐久間が困った顔をしてる。

スタッフさんとメイクさんも困ってる。

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