桃色の指先と翡翠の憂鬱 26

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お重のお弁当を食べ終わって、佐久間の枕を棚から出す。

佐｢あべちゃん、それ使ってくれてありがと｣

阿｢これお昼寝にちょうどいい｣

川｢僕も使ってるよ｣

佐｢なんか、高校生に戻った気分…｣

阿｢来年度入る？｣

川｢阿部先生、また佐久間が大学受験するの僕は嫌です｣

佐｢あべちゃんは高校生の俺に執着しすぎ｣

阿｢ごめんね。今の佐久間も大好きだよ｣

川｢職員室行ってくるね｣

佐｢のえちゃんすぐ戻る？｣

川｢うん。5限目はここにいるよ｣

阿｢俺は授業だ…｣


枕に顔をつけて、横を向く。

川島先生は5限目の会議の予定をずらしに職員室に行ったんだ。

佐｢あべちゃん｣

阿｢んー？｣

佐｢チューして｣

阿｢動きたくないから佐久間がして｣

佐久間が唇にキスしてくれた。

佐｢半日ずっと見てたけど、2人って忙しいね｣

阿｢うん｣

佐｢それに、2人の時間はほとんどないね｣

阿｢うん｣

佐｢だから、のえちゃんはお昼ご飯ここが良いんだね｣

阿｢そうだね。ここで2人で寛いでる｣

佐｢あべちゃん、もうすぐ5限目だよ｣

阿｢行かなくちゃ｣

机に手を着いて立ち上がる。

佐｢あべちゃん、さっきの会議中のやって｣

阿｢カメラのやつ？｣

佐｢うん。のえちゃんと2人であべちゃんの授業見たい｣

阿｢良いけど｣

佐｢あべちゃん顔に出さないでね｣

阿｢努力する｣


次は2年生のクラス。俺の昨年度担任だった子が数名いる。

職員室で教科書を取り出して、ノートパソコンの上に重ねた。

川島先生の姿が見えないな。


2年の教室前の廊下で授業開始まで、防犯カメラの近くに立って待った。

佐久間見てるかな。

佐久間が俺を独占したいって昨日話したこと、期待に応えられてるのかな。

チャイムが鳴って教室に入った。



阿｢ごめん、印刷忘れちゃってノートパソコン見ながら授業やらせてね｣

教卓の上に、ノートパソコンをギリギリ手前に置いて開いた。

チャットソフトを開いて、カメラをオンにする。

画面に川島先生と佐久間が映った。

これ緊張する。

佐久間が手を振ってる。少しだけ微笑んで応えた。

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