桃色の指先と翡翠の憂鬱 21

【突然の訪問者編】 ページ8

【突然の来訪者編】



お正月の三が日。1月3日に、ゆり組とめめとこーじの合同結婚式の日取りは決まった。

川島先生が2日から泊まれる貸別荘を、2箇所抑えてくれた。

雪が降らなければ、キャンセル料0円という約束も取り付けた。

スキー場も近くない場所なら、来たらラッキーくらいなんだろう。

2組は衣装は自前で用意するとのことで、ここはクリア。

料理は年始休みの舘様と川島先生で作り置き出来るものを優先に作る。


川島先生は金沢で買った香箱ガニを使うらしい。

箱で買ったのはそのためか。

ゆり組の結婚式なのに、1番動いたのはしょっぴーだった。

さすが出来る男しょっぴー。


俺たちとふっかとひーくんの結婚式を成功させたノウハウは、さすが化粧会社の広報マンだった。

彼は最後のシーンから、泣く式か、笑う式にするのか、逆算で作っていく。

泣く式は俺と佐久間と川島先生。

笑う式はふっかとひーくん。

俺たちが笑う式になったのはお前のせいだからって、説明をする度に、何度も怒られた。

ゆり組は泣く式に、めめとこーじは笑う式に決まった。


張本人が動いて泣く式って出来るのかなって一抹の不安を覚えながら、段取りが決まった。





今年は24日が金曜日で、終業式も24日。

川島先生と準備室で2人でお弁当を食べているとノック音がした。

阿｢はーい｣



ドアを開けると、目の前に立っていたのは川島先生のお父さん。

川島先生と身長は同じくらい。写真よりずっと優しそう。

川島先生が椅子から立ち上がった…。


川｢何の用ですか｣

阿｢初めまして、阿部です｣

川父｢如恵留、久しぶり｣

川｢…｣

川父｢阿部先生、初めまして｣

川島先生は入り口に立つお父さんを睨みつけてる。


阿｢狭くて今ちょっと荷物がいっぱいなんですが、良かったらどうぞ｣

佐久間用に置いてある椅子に川島先生のお父さんを促した。

川父｢如恵留、用件は読めたか？｣

川｢半分くらいは…｣

阿｢お父さん、どうぞおかけください｣

川父｢阿部先生、お邪魔します｣


川島先生のお父さんが椅子に座る前に、川島先生は佐久間の椅子をたたんで持った。


阿｢川島先生、子どもみたいなことしないの｣

川｢僕はこの人の子どもです｣

川父｢阿部先生、ごめんね｣

阿｢あの、俺の椅子で良かったら…｣


川島先生は仕方ないといった感じで、椅子を差し出した。

川島先生が猫だったら全身の毛が逆立っていたかも。

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