桃色の指先と翡翠の憂鬱 21

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川｢阿部先生、ベンチに座ってください｣

阿｢ありがとう｣

川｢心を開いて失敗しました…｣

阿｢川島先生、妹さんの住所ってどこ？｣

川｢シカゴです…｣

阿｢シカゴ…｣

川｢富裕層がつくった街ですね…｣

阿｢シカゴってよくドラマに出てくるよね｣

川｢はい｣


佐久間がミネラルウォーターを持って戻ってきた。

阿｢佐久間ありがとう｣

佐｢あべちゃん、またひどくなる？｣

阿｢うん、なりそう…｣

佐久間からもらった水で持ち歩いてる頭痛薬を飲んだ。

川｢佐久間、阿部先生、帰りますよ｣

阿｢佐久間ごめんね｣

佐｢あべちゃんなんで？｣

川｢阿部先生、また良くなったら来ましょう｣

阿｢うん。羽田空港って佐久間が好きそうな場所がいっぱいだからね｣

佐｢あべちゃん、俺はあべちゃんが大事だからいいよ｣

阿｢佐久間ありがとう｣



川島先生の車に乗って、家に戻る。

俺の頭が痛いせいもあるけど、誰も話さない。

川島先生のお父さん、とんだ狸だったわ…。

川島先生は数年後には、川島グループの日本支社長か。

副業が認められても、川島先生が両立しようとしたら倒れちゃう…。



だめだ。頭痛が酷くなってきた…。

佐｢あべちゃん…眉間に皺が…｣

川｢阿部先生、もう少し我慢してください｣

阿｢ごめん…｣


目を閉じて歯を食いしばって痛みに耐える。

胃潰瘍と十二指腸潰瘍で倒れてから、強い頭痛薬は飲めなくなった。

寝て痛みをやり過ごすしか、方法がない。


やっと自宅に着いて、川島先生におんぶされて運ばれた。

川｢阿部先生、パジャマに着替えて｣

阿｢うん…｣

佐久間が着替えを手伝ってくれて、ベッドに潜り込む。

無音空間に行きたい…。


川島先生が、学校からいなくなったら俺は耐えられるのだろうか。

まだ先なのに、恐怖でいっぱいになる。



佐久間が静かにベッドに入ってきてくれた。

俺の天使…佐久間大好きだよ。

佐久間を抱きしめて目を閉じた。



【突然の訪問者編】





fin.

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