桃色の指先と翡翠の憂鬱 12

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捻挫も良くなり、風邪も治ってきた日の夜、川島先生をワインに誘った。

川島先生の顔が困惑した。


阿｢川島先生、ワイン飲まないんですか？｣

川｢飲みたいんですけど、止めておきます｣

阿｢川島先生、体調悪いんですか？｣

川｢大丈夫です、しばらくはやめておきます｣


川島先生は飲まないって決めてるんだ。

なぜ？あんなに好きなワインを飲まないの？
俺が捻挫と風邪で合わせてくれるかと思ってたのに、違う理由がありそうだ…。

我慢してる理由…。我慢することに意味がある？

あべちゃん、のえちゃんの心配もして。佐久間の言葉。

わかった。『断ち物』だ。

佐久間が合格するまで、ワインを我慢して願掛けしてるんだね。


阿｢人に話したらダメなんでしたっけ？｣

川｢意味があるかわかりません｣

阿｢川島先生、大丈夫です。俺らの佐久間を信じましょう｣

川｢はい…｣

川島先生を抱きしめる。俺が心配なように川島先生だって佐久間のこと心配なんだ。

恩師に聞けば合否わかるのに、聞かない真っ直ぐな川島先生…。



佐久間の合格発表の日。今日の13時にネットで公表される。

準備室で俺のパソコンで待機。

受験番号はパソコンに付箋で貼ってある。


阿｢川島先生、みて｣

佐｢のえちゃん、確認お願い｣


腕時計で時間を見る…。心臓が口から飛び出そう。

佐久間は、手で顔を覆っている…。


川｢佐久間、おめでとう｣

佐｢よっしゃーーーー！｣

阿｢佐久間良かった…｣

川島先生と佐久間が抱き合ってる。


佐久間の受験が終わった…。

阿｢報告してくるね｣

職員室で、他の先生方にも報告。副校長、校長にも報告した。みんな、受かると思ってたとか話してる。

佐久間の合格の喜びで、気にならなかった。



佐久間は家族でお祝いするそうで、駅でわかれた。

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