桃色の指先と翡翠の憂鬱 12

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土曜日の進路会議は10時から。

2人で少し遅めに起きて、川島先生は朝ご飯の後も、料理を作り始めた。お弁当じゃないな…。

阿｢川島先生、何作ってるの？｣

川｢お昼ご飯です｣

阿｢量が多くない？｣

川｢6人分です｣


3年の担任分だ。でも、そんなに時間が無い。

阿｢川島先生、時間ないよ、もうすぐ出ないと｣

川｢学校で仕上げますね｣

川島先生、家庭科室で仕上げるんだ。そのうち、毎日家庭科室で作りそう。

土曜日で、家庭科の先生いないけどさ、川島先生と俺より少し年上の家庭科の先生は、川島先生のこと好きなの気付いてないのか…。

いや、川島先生が人の好意に気づかないはずはない。

そこは川島先生に任せよう…。

川島先生は食材をタッパーに詰めて、家にある食材も持って家を出た。


川島先生の車で学校に行く。

阿｢川島先生、どうして料理を？｣

川｢頭の整理をしています｣

頭の整理…。佐久間のことだ。川島先生も不安なんだね。



佐久間の両親、俺と川島先生2人で住んでいることも知らないし、俺と佐久間が結婚したことも知らないはず。

川島先生の家に毎週泊まりに来るのも、ダンス部の交流だと思われてそうだし…。

弟くんを納得させるのも必要だ。

佐久間のお母さん、高校生のお母さんの割りには若い。

少しでも理解がある人だと良いな…。

でも、進路相談の時、川島先生相手でも大変だったし。



阿｢いつ話に行く？｣

川｢落ち着いたらと佐久間には伝えました｣

落ち着いたら…。2月入っちゃうな。

佐久間が待てなさそうな気もする…。

今夜は電話しないと。


学校に着いて、川島先生は家庭科室の冷蔵庫に食材を入れに行った。

3年の担任進路会議は、会議室で行う。

資料とパソコンを持って、川島先生が戻るのを待って2人で入った。



会議の途中で、川島先生が失礼しますと席を立った。

勝手に料理しに行っちゃった。

阿｢すみません。川島先生、先生方のお昼ご飯作るみたいです｣

昨夜の料理が美味しかったからか、みんな嬉しそうに顔がほころんだ。

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