桃色の指先と翡翠の憂鬱 12

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クルーズ船を降りると、川島先生の信頼するコンシェルジュが待っていた。

川島先生の車に乗って家に帰る。

川｢僕、後部座席に乗ったの初めてです｣

うん、知ってるけど。なんで隣なの…。

隣に座って手を繋ぐ川島先生を見ていると少しはにかんで、佐久間の真似ですって…。

佐久間の真似か。川島先生も可愛いな。



家に着いて、早めの夕食だったから、コーヒーを飲みながらソファで映画の答え合わせをした。

阿｢川島先生にとって、あの映画の結論は？｣

川｢僕にはやっぱり純愛映画です｣

婚外恋愛が純愛…。しかもバッドエンドなのに。

阿｢またブルーレイ借りて見よう｣

阿｢俺はまだ佐久間と川島先生との3人の時間が一瞬だったとしても、それを幸せだったと受け入れられない｣

川｢どうしてですか？｣

阿｢だって、2人とも失いたくないし、失って気付くとかそんなの失恋の言い訳でしょ｣

川｢阿部先生はハッピーエンドを望むんですね｣

阿｢川島先生には申し訳ないけど、もうバッドエンドは望めないからね…｣

川｢はい…｣

阿｢シャワー浴びてくるね｣

川｢阿部先生、ありがとう｣

阿｢川島先生、悲しい恋の結末はもう映画の中だけだよ｣

川｢ありがとう｣

阿｢俺と佐久間でずっと幸せにするからね｣



シャワーから戻ってキッチンに行くと、牛乳がキッチンに置かれていた。

川島先生…。

歯を磨いてベッドに入って、泣く川島先生をバックハグ。

阿｢川島先生、声を殺して泣かないで…｣

川｢はい…｣

川島先生が泣き止むまで、ずっと川島先生の髪を撫でてた…。




次の日から、俺と川島先生の胸ポケットにはお揃いの万年筆とボールペン。


準備室で佐久間が今度はあべちゃんが真似したって話題になってるって教えてくれた。

阿｢佐久間も欲しかった？｣

佐｢んーん。2人が仲良くなった証拠だから俺はいいや｣

佐｢それに、佐久間さんにはあべちゃんにもらった宇宙の万年筆があるよ｣

川｢佐久間、それは真似しないから安心してね｣

阿｢川島先生、買いそう…｣


川島先生は微笑んでたけど、買わないだろう。

俺と佐久間の間には決して踏み入れない。川島先生の矜恃だ。


今度は佐久間と川島先生にお揃いのものをプレゼントしよう…。




番外編【2人のデート】



fin.

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