桃色の指先と翡翠の憂鬱 11

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放課後、川島先生の車で近くの整形外科に行く。

就業時間中だけど、それを咎める人はいない。みんな忙しいし、川島先生に文句言える人はいない。

診断の結果は、中程度の捻挫。一部の靭帯断裂。全治3週間…。歩行用に松葉杖を借りた。

川｢阿部先生、松葉杖なしだから1ヶ月以上ですよ｣

阿｢佐久間の受験終わりますね…｣

川島先生に角が見える…。

川｢佐久間を庇っての怪我ですよね？｣

阿｢うん…｣

川｢教え子のためにありがとう｣

川島先生は顧問の立場で言ってくれた。


明日は佐久間は願書提出。

朝は迎えに行かなくて良い。

湿布と家での松葉杖で、腫れも引いてきた。

シャワーの後、川島先生もベッドにパソコンを持ち込んで、2人でベッドで仕事をする。



阿｢川島先生、面と向かって初めて言います｣

川｢なんでしょうか｣

阿｢川島先生が大好きです｣

川｢…｣

阿｢怪我をして言うのは卑怯ですね…｣

川｢…ありがとう｣

阿｢川島先生がいないと俺はだめです｣

川｢阿部先生、大丈夫です。僕がいつも支えます｣

夢の中で聞いた川島先生の言葉。


阿｢恥ずかしいので寝ます…｣



推薦は郵送か持参。川島先生のアドバイスで持参提出した佐久間が職員室に来た。

咄嗟に立ち上がれず、川島先生が佐久間の元へ行った。

川｢佐久間おかえり｣

佐｢のえちゃん出してきた｣

ゆっくり立ち上がって佐久間の元へ歩く。

佐｢あべちゃん、どっか悪い？｣

阿｢願書提出に緊張してた｣

佐｢あべちゃん、出すだけなのに大袈裟だよ｣

川｢佐久間、実技の話をしとこうか｣

川島先生が佐久間を廊下に連れ出した。



佐久間のお泊まりの金曜日は、川島先生が恩師とご飯に行くと佐久間を連れ出した。俺は先にシャワーを浴びてベッドで仕事。

佐久間が来る前に、川島先生の匂いで寝た。

土曜日、俺は頭が痛いと、朝起きなかった。



俺の捻挫の回復と反比例して、佐久間は疑っていった。

その都度、川島先生がフォローしてくれたけど、佐久間の瞳が悲しそうに見えた。もう少し…ごめんね。


佐久間の受験日、俺は熱を出した…。

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