桃色の指先と翡翠の憂鬱 7

・ ページ18

嬉しい事が起きた。

阿部先生、僕が孤独だと僕の心の内を優しさで見抜いた。

ごめん、佐久間。

阿部先生の優しさに僕は付け入るよ。

その代償は用意するから。


2人は僕の読心術とお金を魔法だと呼ぶことにした。

また、2人は僕自身を受け入れてくれるんだ。

決して、それを利用しようとはしない。

2人がお互いに思う愛とは違うが、僕を愛してくれた。

ありがとう。


クリスマス会。

阿部先生が僕へのプレゼントを悩んでいてくれた。

佐久間が教えてくれる前からわかってたさ。

僕にプレゼントを要求する人はいても、与えてくれる人は少なくて僕は有頂天のように喜んだ。

プレゼントされたもの。

阿部先生は理解してなかったけど、恋人へ贈るワイン。

僕は確信した。

阿部先生の心の中は佐久間でいっぱいだけど、その奥に僕が入り込めたことに。

僕は阿部先生に一緒に住んで欲しいと頼んだ。

阿部先生の、僕への要求はお風呂上がりの牛乳だけ。

阿部先生、面白い人だ。



僕は僕の心を読めない…。

わかるのは、僕を1番に求めない阿部先生と佐久間に僕はあえて執着した。

手に入ったら興味を無くす。

手に入らないから2人が欲しい。手元に置きたい。


年末年始は海外で過ごす習慣はあえて変えなかった。

本当は次の日でも、阿部先生に引っ越して欲しかったけど。

佐久間の気持ちはまだ納得していない。

佐久間、少しずつ阿部先生の心を読めてるよね？

旅行から帰ると佐久間の心が変わっていた。

阿部先生が僕の手元にいたほうが、自分と阿部先生と僕のためになると理解してた。

僕のためも考える佐久間は優しいな。



僕の淡い期待は叶った。

阿部先生が僕の家に越してきて、阿部先生と佐久間は本当に僕の家族になった。

阿部先生と笑い合うことも増えた。

阿部先生の遠慮がちな性格は直らないけど、それでも良かった。たまにぶつけてくれるようになって、少しずつ前進。

・→←・

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す