桃色の指先と翡翠の憂鬱 7

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佐久間は、阿部先生と僕が一緒に住んでから、僕が人の心を読むことを気付いた。

ずっとあえて閉ざしていたのに、佐久間はすごいな。


鋭い佐久間の勘。僕が読心術なら、佐久間は勘なんだね。

僕と同じ心を読むかと思ってたけど、少し違った。


僕の心は探ったらだめだよと伝えたけど。



気付いてから佐久間は僕に阿部先生への対応を任せることが増えた。


阿部先生の辛さ、苦しみは佐久間から生じるもの。

佐久間は阿部先生に恋をしているけど、阿部先生の気持ちが自分に向いてくれた最初の喜び、素直にずっとそのまま。

佐久間が1度辛いと思った時、これが恋の痛みなんだねって、笑って僕に話してくれたことがある。

佐久間には恋の痛みも楽しいんだね。


阿部先生はネガティブだから、苦しいとその中に自分を置いてさらにもがく。

僕が阿部先生を苦しさから救い出す。昔からの役目。


佐久間が熱の時は、ひどかった。

僕の全てを使って、佐久間の側にいたら良いのに、なんでそんなに苦しむんだろう。

僕は阿部先生と佐久間のためならなんでもするし、2人を見守ることを楽しんでいるのにな…。

熱が下がった佐久間も気付いた。

佐久間が素直に帰って、僕に任せてくれた。

さらには電話で、あべちゃんがつらそう、のえちゃんたすけてって念押し。



僕はあえて、阿部先生の好きな星空の下、阿部先生の苦しみを引きずり出すことにした。

七夕の話で心を揺さぶって、阿部先生が固執する僕の名前は物理に例えた。

阿部先生はすぐに理解した。


阿部先生が褒めてくれた僕の名前。

両親から与えられた僕の呪縛。

解いてくれたのは阿部先生。

僕の最愛の人…。



阿部先生の中に佐久間がいる限り、僕は阿部先生を手放さないよ。


クリスマスプレゼントに贈ったオイラーの等式のネクタイピン

eiπ + 1 = 0

異なる3つの値、それが一つなった美しい等式。


3人の複雑なトライアングル。僕はこの関係は崩さない。




番外編【魔法使いの秘密】


fin.

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