桃色の指先と翡翠の憂鬱 6

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家に着いて、川島先生が手を引こうとしてくれたけど、断った。ごめん、自分の速度で歩きたい…。

慣れた場所ならぼんやりしててもわかる。

スーツケースを引いて、川島先生の部屋から入る。

もう限界だった。川島先生の部屋の玄関にうずくまる。

視界より頭痛がつらい…。

川島先生に抱きかかえられて、川島先生の寝室のベッドに横たわる。
川島先生にジャケットを脱がしてもらって、布団に潜った。



…
……

……

……、先生…

………阿部先生……

この声は川島先生…

無意識に枕横のメガネを探して、手にメガネを渡された。

メガネを掛けて起きたけど、真っ暗でよくわからない。

川島先生に支えられて起きる。

部屋を出て、廊下がうっすらと暗い。

リビングから漏れる明かりで、視界が戻ったことに安堵した。


川「阿部先生、頭痛は？」

阿「うん、大丈夫」

川「夕ご飯は無理そうですか？」

阿「うん、作ってくれてたらごめん」

川「気にしないで」

リビングの明かりが俺には無理そうだと判断して、廊下にもたれて座る。

阿「ごめん、俺のスマホどこ？」

川島先生が俺の部屋に取りに行ってくれた。

スマホの時計を確認すると20時50分…。

佐久間に電話しなくちゃ。

廊下にもたれたまま、佐久間に電話をかける。

佐「あべちゃーーん！」

阿「佐久間、うるさい」

佐「あべちゃん、大好き」

阿「佐久間大好きだよ」

佐「今日楽しかった」

阿「うん、楽しかったね」

佐「佐久間先生だって、にゃはは」

阿「人気だったね」

無邪気に笑う佐久間が可愛い…。

佐「あべちゃん、今夜はゲームする？」

阿「んー、どうしようかな」

ゲームする余裕ないのに悩むふり。

佐「佐久間先生は、疲れたから寝るよ」

阿「明日ダンス部あるもんね」

佐「のえちゃんに怒られるから見学だよ…」

阿「川島先生のお弁当あるでしょ」

佐「うん、すごーーく楽しみ」

ごめん、お弁当はないんだ…。

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